マグミクス | manga * anime * game

『愛の戦士レインボーマン』日本特撮史上、最も過激な悪の組織「死ね死ね団」とは?

今なおカルト的人気の高い、1970年代を代表する特撮ヒーロー番組『愛の戦士レインボーマン』。主人公であるレインボーマンの戦った相手が、秘密結社「死ね死ね団」でした。一度耳にしたら忘れられない「死ね死ね団」とは、一体どんな組織だったのでしょうか?

インドの山奥で修行した正義の味方

『愛の戦士レインボーマン』 M作戦編 [DVD](東宝)
『愛の戦士レインボーマン』 M作戦編 [DVD](東宝)

 2020年2月26日(水)は何の日かご存知でしょうか? この日は作家・脚本家・作詞家・政治評論家……とマルチに活躍した故・川内康範氏(1920年~2008年)の生誕100年にあたる日です。川内氏は1958年にTV放送が始まった『月光仮面』の原作者として有名です。『月光仮面』は日本初のヒーロー番組でした。その後も、『七色仮面』『アラーの使者』『ダイヤモンド・アイ』『コンドールマン』など多くのヒーロー番組を生み出しています。なかでも1972年~73年に放映された『愛の戦士レインボーマン』(以下、レインボーマン)は、強烈なインパクトを当時の子供たちに与えました。

「インドの山奥で修行して~♪」と主題歌に歌われたように、『レインボーマン』の主人公ヤマトタケシ(水谷邦久)がインドの山奥で暮らす聖者ダイバ・ダッタ(井上昭文)のもと、過酷な修行を積むことから物語は始まります。もともとはプロレスラーになり、足の不自由な妹・みゆきの手術費を稼ごうと考えていたタケシだったのですが、師匠ダイバ・ダッタの教えに導かれ、人類愛に目覚めることでレインボーマンに変身する能力を身につけるのでした。

 タケシはサンスクリット語のお経を唱えることでレインボーマンに変身し、戦いに疲れるとナルコレプシー的に唐突に眠りに陥るという設定も斬新でしたが、レインボーマン以上に衝撃的だったのは悪の組織「死ね死ね団」です。このアナーキーすぎるネーミングの組織を率いたのは、ロマンスグレイの謎の紳士・ミスターK(平田昭彦)。ミスターKは第二次世界大戦時に家族を日本兵に殺されたことから日本人を憎むようになり、日本人壊滅を企むのでした。「黄色いブタめをやっつけろ」という過激な歌詞の団体歌「死ね死ね団のうた」を持つ、非常に恐ろしいヘイト集団、それが「死ね死ね団」でした。

日本社会の弱点を突く巧妙な作戦

 ミスターKが考える作戦は、どれもリアリティーのあるものばかりです。まず「キャッツアイ作戦」では、キャッツアイと呼ばれる新しいドラッグを日本で流行させ、日本人全員を狂人にしてしまうことを企みました。タケシもキャッツアイを口にし、一時的に精神錯乱に陥ります。違法ドラッグの恐ろしさを、タケシは身をもって体感するのでした。

 続く「M作戦」はさらに巧妙です。「御多福会」なる新興宗教団体を立ち上げ、集まった信者たちにお守りの代わりに札束を与えたのです。実はこの札束は、「死ね死ね団」が作ったニセ札。日本中に大量のニセ札が出回ったことで、日本経済は破綻の危機に追い込まれます。M作戦のMとはMoney。日本人はお金が大好きなことを見抜いての作戦だったのです。

 さらにミスターKは「モグラート作戦」を実行します。地底戦車モグラートを使って、日本にやってくる石油タンカーや貨物船を次々と爆破していきます。また爆破事件を多発させることで、日本を国際社会から孤立させてしまおうという狙いもありました。エネルギー資源に乏しく、食糧も海外からの輸入に頼っている日本の弱点を見事に突いた作戦でした。

【画像】7つの化身の姿で戦うレインボーマン(7枚)

画像ギャラリー

1 2