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アニメ『呪術廻戦』“突然変異呪骸”パンダ先輩の正体に迫る パンダはパンダじゃない?

「オレパンダ、ニンゲンノコトバワカラナイ」……今や破竹の勢いのアニメ『呪術廻戦』。個性豊かなキャラクターたちの中でもとりわけ目を引くのはパンダ先輩でしょう。一体、彼は何者なのか?「突然変異呪骸」という概念と合わせて解説します。

パンダ先輩はパンダであってパンダでないのか?「突然変異呪骸」が誕生したきっかけ

『呪術廻戦』Blu-ray/DVD Vol.5(東宝)  (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
『呪術廻戦』Blu-ray/DVD Vol.5(東宝) (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

 上野動物園のパンダに注目が集まって久しいですが、こちらのパンダもまた日本中の注目を集めています。アニメ『呪術廻戦』(原作:芥見下々/集英社)に登場するパンダ先輩(CV:関智一)です。

 パンダ先輩(あるいはパンダ)。都立呪術高等専門学校に通う2年生であり準2級呪術師でもあります。誕生日は3月5日生。身長は190cm以上。頭脳明晰で運動神経抜群。好きな食べ物はカルパス。苦手な食べ物は笹の葉。

 そして、当たり前のようにパンダです。登場時より謎が謎を呼ぶこのパンダ先輩。果たして彼は何者なのでしょうか。人間か獣か半獣か着ぐるみか『鉄拳3』か……このパンダ先輩の存在を理解することはそれすなわち『呪術廻戦』の世界設定をより正確に把握することにつながるといっても過言ではありません。

●パンダ先輩=“突然変異呪骸” そもそも「呪骸」とは一体なんなのか?

 パンダ先輩とは何者なのか。劇中の言葉を用いれば彼は「突然変異呪骸」です。つまり「突然変異」した「呪骸(じゅがい)」ということなのですが、ここではまず「呪骸」とは何かを説明する必要があります。

「呪骸」とは“呪いを内包し、操作できる無生物”の総称。自立行動できる人形のようなものです。呪骸はそれぞれ「核」を持ち、それが破壊されると自立行動が取れなくなるという仕様です。

 一見すると究極メカ丸のような「傀儡(かいらい)」と混同してしまいそうですが「傀儡」は遠隔操作する必要がある点において自立式の「呪骸」と異なっています。

 劇中に登場した「キャシィ」や「ツカモト」といった「呪骸」たちはみな、「傀儡呪術学」の第一人者である夜蛾正道(CV:黒田崇矢)によって生み出されたものです。デザインもまた夜蛾が決定しています。(カワイイものが大好きな夜蛾ですが、呪骸を作る際はさほど意識していないとのこと)。そんな彼の最高傑作こそが“突然変異呪骸”であるパンダ先輩でした。

 では一体、なぜ“突然変異”が起こったのでしょう。通常、呪骸の中には「核」がひとつしかありません。ところが夜蛾はパンダ先輩を作る際、この「核」を3つ用います。その結果 “突然変異”が生じ、偶然にもパンダ先輩が誕生したと捉えるのが妥当かも知れません。なおパンダ先輩自身は体内にある残り2つの核(お兄ちゃん、お姉ちゃん)と人格が入れ替わるといったことはないとのこと。

「パンダ先輩」にはなぜ名前がないのでしょう。名前には言霊が宿ります。古来、日本において本名は諱(いみな)=忌み名とされ、生前は口に出すことすらはばかられていました。この背景を鑑みるに、平安時代より連綿と継承されてきた「傀儡呪術学」の第一人者である夜蛾正道ならではの配慮かと思いきや、原作者・芥見下々先生曰く「高専にパンダが1匹しかいないから」とのこと。真実は非常にシンプルなものでした。なおこの芥見先生が生み出すリアリティとファンタジーとの絶妙な距離感が『呪術廻戦』のたまらない魅力だったりします。

 やたらと色恋沙汰が好きだったり、見た目に反して良識の持ち主だったり、お日様の匂いがしたり……キャラクターとしても底知れぬ魅力を持っているパンダ先輩ですが、同時に「無生物であっても呪力次第で感情をも宿す」という新しい設定をストーリーに持ち込んだ存在でもあり、今後ともさらなる展開の膨らみを期待させます。ちなみに、そもそものキャラ誕生の経緯は「出オチ」だそうです。

(片野)