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「鬼滅はボーボボのパクリ」誰も本気にしない珍説を調査してみると…意外と深い!

人気作品が別の人気作品と酷似していたら……「パクリ疑惑」は必ずと言っていいほど炎上するものです。しかし、いっさい炎上の兆しを見せない「鬼滅はボーボボのパクリ」という珍説を掘り下げてみました。

本気で言っている人はほぼゼロ? 全てをパクリにしてしまう『ボーボボ』の吸引力

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 過去、「鬼滅はボーボボのパクリ」という珍説がネットの海を凄まじいスピードで駆け抜けていきました。現在も検索すれば、その軌跡をたどることができます。

 ここでいう『鬼滅』とは当然、『鬼滅の刃』(著:吾峠呼世晴)のことであり、『ボーボボ』とはギャグマンガ『ボボボーボ・ボーボボ』(著:澤井啓夫)のことです。

 そして何より『鬼滅』は『ボーボボ』のパクリではありません。

 Web上において人びとの想像力が結集すると、時にとんでもない暴論が生み出されるもの。この珍説もそのうちのひとつであり、そもそも本気でそんなこと考えている人は少ないでしょう。一体、具体的に何がどうパクリなのか……せっかくなのでのぞいて遊んでみたいと思います。

※以下、まだアニメ化されていない『鬼滅の刃』の内容を含んでいますのでご注意ください。

●「鬼狩り」は「毛刈り」のパクリ!

 真っ先に見つかるのがこちらでさすがにイチャモンもいいところです。仮にこの説がまかり通ってしまえば、キノコ狩りも、紅葉狩りも、豊臣秀吉の刀狩りも、今まさにこの項目で指摘している言葉狩りも全て『ボーボボ』のパクリとなってしまいます。気付けば森羅万象が『ボーボボ』起源となってしまうのも時間の問題です。そうなる前に、次の項目へ急ぎます。

●玉壺の「水極鉢」はところ天の助のあれのパクリだ!

 上弦の伍である玉壺が時透無一郎に使用した、壷状の水に閉じ込める血鬼術「水極鉢」と、『ボーボボ』でところ天の助がビュティを体内に閉じ込めた技が酷似している、という指摘も見受けられました。これに対する反応の多くは「あったあった」「天の助ってライチ味だっけ?」と実に平和なもの。『ボーボボ』における天の助の扱われ方にも似たものを感じます。

●鬼舞辻無惨の最終形態は…『ボーボボ』の巨大赤ちゃんに似ている!

 こんな指摘も。『鬼滅』もクライマックスに差し掛かり、鬼舞辻無惨が胎児形態へと変化した場面。これもまた『ボーボボ』で上述の「ところ天の助編」で登場した「巨大赤ちゃん」に似ているというもの。確認すれば、ところ天の助が隊長のAブロック基地である遊園地の周遊列車のトンネルが割れて巨大な赤ちゃんが突如出現し……文字に起こすだけで脳がくすぐられる怒涛の展開のなか、なんとか当該箇所を発見できました。ここまでくると「よく見つけた」と感心するレベルです。

 ということで改めて確認するまでもなく、これはもう『鬼滅』に限らず、ちょっとひねればなんでも『ボーボボ』のパクリにできてしまう……それくらい『ボーボボ』の内容がハジけていたと結論づけることもできます。

 また『鬼滅』は炭治郎をはじめとする鬼殺隊士は「週刊少年ジャンプ」の王道を行くかのような攻撃技が多いのに対し、鬼たちの攻撃技はここまで見てきた通りかなり独創的。そういう意味では『ボーボボ』のハジけぶりをギャグではない真剣勝負の場に持ち込んでしまえる、吾峠先生の演出力が際立つ結果となったとも言えるでしょう。

 つまるところ、この珍説を掘り下げると両作のさらなる魅力が浮き彫りになったというのが、本当の結論といえるかもしれません。

(片野)