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『鬼滅の刃』の重要なキーワード「つなぐ」エピソードを持つ4人

『鬼滅の刃』には、家族愛や本当の強さ、成長、仲間など大切なテーマがいくつもあり、そのうちのひとつが「つなぐ」です。使命や思い、言葉、技などを次の誰かに伝え、そしてつないでいくという、大切なバトンが描かれているのです。「つなぐ」をキーワードにしたエピソードを持つ4人を紹介します。

「つなぐ」からこそ生まれる大きな力

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

『鬼滅の刃』には、家族愛や本当の強さ、成長、仲間……など、大切なテーマがいくつもありますが、そのうちのひとつに「つなぐ」があります。使命や思い、言葉、技などを次の誰かに伝え、そしてつないでいくという、大切なバトンが描かれているのです。

 この記事では、『鬼滅の刃』に描かれている「つなぐ」をキーワードにしたエピソードを持つ人物を4人取り上げて紹介していきます。

※この記事では、まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

●炭治郎:ヒノカミ神楽と日輪の耳飾り

 炭治郎の父親・炭十郎は、「ヒノカミ神楽」と「日輪の耳飾り」を継承させていくことを「約束」だと言いました。炭十郎自身、体が弱いにもかかわらず、先祖と炭竈の神に奉納するために、正月の日没から翌朝の夜明けまで「ヒノカミ神楽」を舞い続けるのです。

 この「ヒノカミ神楽」とは、かつて戦国時代に「始まりの呼吸」の剣士、継国縁壱(つぎくに・よりいち)が編み出した技でした。

 縁壱は、鬼の始祖である鬼舞辻無惨ですら「化け物」と恐れるほどの腕前の剣士として描かれています。そんな縁壱の技を炭治郎の先祖は、「後世に伝える」と約束し、縁壱から受け取った「日輪の耳飾り」とともに、長い年月、守り続け、受け継いできたのです。

 下弦の伍・累との戦いで追い詰められた炭治郎は、走馬灯で見た父の「ヒノカミ神楽」にヒントを得て戦いに応用し、技を使えるようになりました。

実はこの「ヒノカミ神楽」には、もうひとつの「つなぐ」があります。炭十郎が何時間も舞い続けていたというところにも秘密があるようです……。 

●冨岡義勇:姉の思い

 水柱・冨岡義勇の姉は、祝言を挙げる前日に、義勇をかばって鬼に殺されました。義勇はずっと「自分が死ねば良かった」と悔やんでいましたが、それを聞いた錆兎(さびと)は、「お前は絶対 死ぬんじゃない 姉が命をかけて繋いでくれた命を 託された未来を お前も繋ぐんだ 義勇」と叱りつけます。その言葉にハッとした義勇でしたが、その後、最終選別で義勇を含め、ほかの隊士たちのために鬼を倒していた錆兎が殺されると、錆兎でなく自分が死ねば良かった、自分は柱の資格がないと思うようになってしまったのです。

 無惨との最終決戦を前に、鬼殺隊では柱稽古が開催されます。しかし、柱であるにもかかわらず参加しないという義勇をお館様・産屋敷耀哉(うぶやしき・かがや)の命を受けて炭治郎が訪ねます。そして、炭治郎は拒絶の姿勢を続ける義勇に問いました。「義勇さんは錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか?」と。その言葉に錆兎との約束を思い出した義勇は、自らが「つなぐ」べきものに気付くのです。

ちなみに義勇の羽織は、右半分が姉の形見、左半分は錆兎の形見の着物を使っているため、左右で柄が異なります。 

●産屋敷耀哉:人の想い

 ついに無惨と対峙した産屋敷耀哉は、多くの隊士が亡くなったにもかかわらず、千年間、鬼殺隊がなくならなかった理由をこう言います。「永遠というのは人の想いだ 人の想いこそが永遠であり 不滅なんだよ」と。

 一人ひとりの人間の命には限りがあっても、つないでいくことで、それが永遠になると言うのです。「つなぐ」ことは、ひとりの力を越えていきます。つないで、つないで、大きな力を生み出すのです。仲間を信じ、想いを託すことで、さらに大きな力が生まれていきます。

 一族から無惨を出したことで呪われ、長く生きられない運命を背負った産屋敷家、そして、大切な人の命を理不尽に奪った者を許さないという想いが永遠であることを無惨に告げ、そして最終決戦の火ぶたを切って落とします……。

●鬼舞辻無惨:不滅

 無惨は千年以上前に貴族の家に生まれました。病気のため20歳まで生きられないと言われましたが、試作の新薬で命を長らえ、強靭な体を手に入れたのです。しかし、日光の下に出られず、人を食べる鬼になってしまったことに、彼はいら立っていました。

 無惨が求めているのは永遠の命であり、不滅の肉体です。ただただ、「生きることだけに固執している生命体」となってなお、生き続けています。

 しかしそんな無惨も、いよいよ命が尽きるという時に産屋敷耀哉の言ったことが正しいと認め、自分の想いを不滅で永遠のものにしようとするのです……。

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 柱の元で修業する弟子も「継子」と呼ばれます。そこにも想いを受け継ぐ、「つなぐ」という意味があるのでしょうね。

(山田晃子)