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漫画がスポーツ人気に与える影響を考察…『スラダン』に比べ『黒子』は? 部員倍増の例も

『スラムダンク』の影響でバスケを始めた人が多いのは有名な話ですが、果たして他のスポーツマンガの影響はどうだったのでしょうか? 具体的に紹介します。

バスケ人口を増やしたのは『スラダン』だけじゃない?

バスケ人口増加に貢献した『黒子のバスケ』アニメビジュアル (C)藤巻忠俊/集英社・黒子のバスケ製作委員会
バスケ人口増加に貢献した『黒子のバスケ』アニメビジュアル (C)藤巻忠俊/集英社・黒子のバスケ製作委員会

 マンガがスポーツ業界に与える影響は大きいです。いちばん有名な例では、『スラムダンク』(著:井上雄彦)が連載されていた1990年から1996年にかけて、現実の日本のバスケットボールの競技人口が増加しています。

 日本バスケットボール協会が公表している競技人口を見てみましょう。連載開始の1990年には81万560人だったのに対し、連載終了の1996年には過去最高の100万8822人を記録しているのがわかります(以降、徐々に減少)。まさに圧巻の影響力でした。

 さて現在もスポーツマンガは、小中高生に大人気です。果たしてこれまで連載されたスポーツマンガの名作たちは、どれだけ少年少女たちの心を突き動かしてきたのか具体的に紹介します。

※スポーツ毎に競技人口のサンプル数や抽出方法が異なっているため、記事中で紹介している数字はあくまでも参考です。また、連載時期と競技人口の変化を比較しておりますが、明確な因果関係を論じるものではなく、あくまでもデータをもとにした考察としてお楽しみ下さい。

●『スラムダンク』もすごいけど『黒子のバスケ』の影響だってもちろんある!

 確かに『スラムダンク』はバスケマンガの金字塔であり、その影響は今もなお絶大なものがありますが、日本にはそれ以降も数多くの名作バスケマンガが誕生しています。例えば2009年から2014年まで「週刊少年ジャンプ」で連載された『黒子のバスケ』(著:藤巻忠俊)は、日本のみならず海外でも高い評価を獲得。アニメ、舞台とさまざまな形でメディア展開されました。

 では連載期間における競技人口の変化はどうかというと、連載開始の2009年は61万6839人。一方、連載が終了の2014年には63万2661人です。約1万6000人も増加しています。『スラムダンク』のときほど派手な動きは見られませんが、すっかりバスケットボールというスポーツが定着したなかで「黒子に影響を受けてバスケを始めた」という人が、これほどの規模で存在しているということが想像できるのです(実際、ここ数年ふたたびバスケの競技人口は減少傾向にあるのです)。

●『ハイキュー!!』は男子バレー競技人口にどれだけ影響を与えた?

 バレーボールマンガは長いこと『アタックNo.1』(著:浦野千賀子)、『サインはV!』(作画:望月あきら、原作:神保史郎)などのスポ根ブーム時代の名作が代表的でした。そんななか、2012年から2020年にかけて連載された、高校男子バレーボールを題材にした『ハイキュー!!』(著:古舘春一)は新風を巻き起こしました。

 長期連載の本作は、はたして競技人口にはどれだけの影響を与えているのでしょうか。実のところ2000年代初頭において男子バレー部が廃部になるケースも少なくなかったそうですが、『ハイキュー!!』の連載開始後に潮目は急変。3万7000人ほどだった男子高校バレーの競技人口は、2019年には4万5000人まで増加。少子化が進むなかで、この伸び率は目覚しいと言えるでしょう。バレーボール業界における「救世主」とも言える名作となりました。

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