もはや元凶? モテすぎて悲劇を巻き起こしたヒロインたち 三世代でつけ狙われ…
多くのマンガでヒロインは魅力的に描かれています。そして魅力的であるがゆえに、ヒロインをめぐって、トラブルや悲劇が起きることも珍しくありません。今回はそんななかでも、特にモテすぎたあまり争いが起きてしまった女性キャラを紹介します。
本人は悪くないけど……周りで男たちがどんどん死んでいく
歴史上で、美しすぎる女性をめぐって戦争や国家の危機が起きた事例は多々ありますが、少年マンガでも魅力的すぎたヒロインが、トラブルや悲劇を巻き起こしてしまうことがありました。ほとんどの場合、ヒロインに非はないのですが、どうやら物語においては「美しさは罪」の場合が多いようです……。
※この記事には、各作品のネタバレが含まれています。マンガを未読の方はご注意ください。
●ユリア『北斗の拳』
『北斗の拳』のヒロインであるユリアは、南斗の正統血統を持つ美しい女性で、主人公・ケンシロウの婚約者でした。「慈母星」を宿星に持つ彼女は、美しさとあふれ出る慈愛の心で、ラオウ、トキ、シン、ジュウザなど、多くの男性を虜にしています。ケンシロウに惹かれていたマミヤからは、「知る男全てが心惹かれる存在」と嫉妬もされるほどの魅力を持っていました。
彼女の魅力が引き起こしたトラブルや悲劇はいくつもあります。そもそも、ケンシロウが戦う動機が、シンやラオウに奪われたユリアを取り戻すことでした。そして、南斗五車星のジュウザは、それまで使命に無頓着でしたが、南斗六聖拳最後の将の正体がユリアだと知ると、彼女のために死を賭してラオウに挑んでいます。
特別なことはしていないにも関わず、色んな男から惚れられ悲劇を巻き起こしたユリアは、呪いとも思えるようなモテっぷりでした。せめて舞台が核戦争後の荒廃した世界ではなく、学園ドラマなら、もう少し悲劇はマイルドだったことでしょう。
●フランシーヌ(とアンジェリーナ、エレオノール)『からくりサーカス』
壮大かつ複雑で入り組んだ物語で人気を博した『からくりサーカス』。世界全体の危機にまで及ぶストーリーは、200年前のプラハで起きたフランシーヌという笑顔が素敵な女性をめぐる、白銀(バイイン)と白金(バイジン)の兄弟の争いが発端でした。
錬金術を学びに来たプラハで、弟・白金は美しく、優しく、最高の笑顔を持つフランシーヌに恋をします。しかし、フランシーヌと恋仲になったのは、後から彼女を好きになった兄の白銀でした。白金は嫉妬に狂い、白銀からフランシーヌを奪い去って旅をしますが、最後まで彼女の愛を手に入れることはできなかったのです。そして、白金はどんどん狂っていき、彼が作り出したフランシーヌそっくりの人形を頂点とする自動人形(オートマータ)たちが、世界中にゾナハ病を蔓延させ、多くの悲劇を生み出していくことになるのです。
また、白金は自分の記憶を別の人間に転送させてまでアンジェリーナ、エレオノールと、フランシーヌそっくりの後代の女性を手に入れようと画策し、人類を滅亡の危機にまで追いこんでいます。もちろん、フランシーヌをはじめ、アンジェリーナやエレオノールにも全く非はないのですが、白銀や白金がフランシーヌに恋をしていなければ、その後の数々の悲劇は起こらなかったはずです。
白金が毎回、兄の面影のある男に最愛の人の心を取られてしまっていたのも皮肉でした。また、最初はエレオノールに守られる存在で、鳴海と彼女の関係を応援していた小学生・才賀勝の感情がだんだん変わっていくのも、複雑で面白いところです。『からくりサーカス』のヒロインたちを見ていると、「モテすぎるのも罪なのかも?」と思ってしまいます。