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7月19日は「サイボーグ009の日」 初連載は打ち切りだった、何度も蘇った名作

時代を超えて連載は続くかに思えたが…

 1979年のアニメ第2作を収録した、「サイボーグ009 1979 DVD-COLLECTION Vol.1」(東映)
1979年のアニメ第2作を収録した、「サイボーグ009 1979 DVD-COLLECTION Vol.1」(東映)

 その後も石森先生は中断した『009』の「天使編」をリスタートしたと思われる「神々との闘い編」を「COM」(虫プロ商事)で連載し、「週刊少女コミック」(小学館)でいくつかの中編を掲載、「月刊少年ジャンプ」(集英社)や「プレイコミック」(秋田書店)などでは読み切り短編を描いています。これらの作品は、ほとんどが再び動き出したサンデーコミックスの11巻~15巻に収録されました。

 そして1979年。『009』は2度目のアニメ化が決まります。この2作目にあたるアニメは前作の東映動画(当時)に代わり、東映本社のテレビ事業部(当時)が制作したもので、アニメ制作は日本サンライズ(当時)が下請けしていました。そのクオリティは当時のアニメファンから大きく評価され、1979年3月6日~1980年3月25日まで放送されます。

 実は『009』の再TVアニメ化はなかなか実現しなかったそうで、その理由として最初のアニメが原作と違う部分が多かったからでした。そこで今回のアニメ化にあたって石森先生は積極的に打ち合わせに参加し、時にはラフデザインまで描くほどの力の入れようだったそうです。

 このTVアニメ化に合わせて、新たに『009』の連載を始めたのが「週刊少年サンデー」(小学館)でした。TVに合わせてネオ・ブラックゴースト団を新たな敵として設定し、単行本一冊にまとまるような中編をいくつか掲載します。この他にも日常編とも言うべき戦いのないドラマ重視の短編も何本か描いていました。

 この他にも「少年ビッグコミック」(小学館)でも不定期掲載されています。これらの小学館版の『009』は前述の秋田書店で刊行していたサンデーコミックス全15巻とは別に、少年サンデーコミックス(小学館)として全12巻が発売されました。ちなみに、このふたつで重複された作品は一本もありません。

 TVアニメは好評だったことで延長も企画され、「ミューストサイボーグ編」をベースにした脚本やデザインも作られましたが、残念ながら実現には至りませんでした。しかし、その人気の高さから3度目の映画化、前作までとは違って2時間を超える長編劇場用アニメ作品として『サイボーグ009 超銀河伝説』(1980年12月20日公開)が制作されます。

 その後も石森先生のライフワークとして「SFアニメディア」(学習研究社)で1985年に「時空間漂流民編」が連載されるなど、『009』は掲載誌を変えて永遠に続くかに思えました。しかし、1998年1月28日に石ノ森先生は永眠することとなり、『009』も共に深い眠りにつきます。

 ところが、石ノ森先生の最期が『009』の最期ではありませんでした。新たなTVアニメシリーズとなる『サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER』が2001年10月14日~2002年10月13日までテレビ東京系列で放送されます。

 また、石ノ森先生の長男である小野寺丈さんが執筆した小説、石森プロのスタッフによる『009』の新作マンガも発表されました。2009年には、009が西暦に含まれる1000年に一度の年ということで、さまざまなイベントや企画が催されています。

 石ノ森先生による新作は見ることはできなくても、『009』という作品は永遠に不滅なのでしょう。筆者も1年に一度やって来る「サイボーグ009の日」に合わせて、『009』を改めてもう一度読んでみたいと思います。

(加々美利治)

【画像】どの時代が好き?何度もアニメ化された『009』(6枚)

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