38周年『ドルアーガの塔』 激ムズで「自力クリアは不可能」 でも名作とされるワケ
1984年7月に稼働を始めたアーケードゲーム『ドルアーガの塔』。あまりの難しさで「自力クリアは不可能」とまで言わしめた名作アクションゲームを、特徴的なゲーム性やコミュニティの思い出を踏まえながら振り返ります。
難しさゆえにコミュニティの熱量が凄かった
1984年7月にアーケードゲームとして産声を上げ、ノーヒントではほぼクリア不可能とまで言われた名作アクションゲーム『ドルアーガの塔』。天高くそびえ立つ一本の塔を舞台に巻き起こる同作の物語は、後に製作者の遠藤雅伸氏によって「バビロニアン・キャッスル・サーガ」と銘打たれ、全4部作+派生作品を含むシリーズ展開が行われました。
今回は、2022年で生誕38周年を迎えた『ドルアーガの塔』に着目し、そのゲーム性や魅力を振り返りつつ、同シリーズの歩みを振り返ります。
『ドルアーガの塔』の主人公はバビリム王国の王子「ギル」。プレイヤーは彼を操り、封印を解いて復活を果たした悪魔「ドルアーガ」を討ち滅ぼすべく、危険な仕掛けや魔物が潜む塔に単身で乗り込むことになります。そして最上階には、ドルアーガの魔力を全身に浴びて石へと変えられてしまった巫女「カイ」の姿が。このように、「ドルアーガを倒してカイを元の姿へ戻す」という目的を掲げて多くのプレイヤーが攻略に励んだわけですが、その道のりは非常に険しいものでした。
全60面で構成された『ドルアーガの塔』では、1面ごとに特定の条件を満たすことでさまざまなアイテムが手に入ります。ギルが身につけている兜や鎧といった防具をはじめ、魔物を倒すのに欠かせない剣、用途が多岐にわたる薬、さらには塔内の壁を壊して通路を確保可能なつるはし……等々、同作のアイテム類は多種多様。エンディング到達に必須級のアイテムを取りこぼすと完全クリアが不可能になるため、必然的に各面でアイテムを入手すること(一部を除く)が重要視されていました。
しかし、肝心のアイテムを入手する方法、もとい宝箱を出現させる方法がとにかく難解なのです。序盤は「ステージ内でスライムを数匹倒す」などの容易な条件ですが、上階へ進むにつれて次第に複雑化。例えば「Z軸とY軸を開始地点からズラす」だったり、「規程の時間が過ぎるまで動かずに待つ」等々、プレイヤーに高度なテクニックを求めるだけでなく、シチュエーションを細かく指示する条件が増え、解き方が分からずに詰んでしまうプレイヤーが大勢現れる事態に発展しました。
とは言え、難しいからこそ多くのプレイヤーが知識を持ち寄り、ゲームセンターを中心としたコミュニティの活性化に繋がったのも事実です。1984年当時は現在のようなインターネット上の攻略サイトが存在せず、ゲーム情報と言えば紙媒体や友人知人の口コミから賄(まかな)っている時代。それゆえ、攻略法を見つけた先人のもとにプレイヤーたちが集い、アナログな手段(攻略ノートの書き込み等)を通じて遊び方が確立されていきました。こうした「やや理不尽にも思える難易度」が功を奏し、無数のプレイヤーによる『ドルアーガの塔』攻略ブームを巻き起こした……と言えるのではないでしょうか。