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『うる星やつら』イラつくのはナゼ? 僕らは有能な諸星あたるに嫉妬しているだけなんだ

「好き」と言わないあたるはクールでかっこいい?

あたるはラムの抜け落ちた角を握りしめ最後の鬼ごっこに臨む『うる星やつら』〔新装版〕第34巻(小学館)
あたるはラムの抜け落ちた角を握りしめ最後の鬼ごっこに臨む『うる星やつら』〔新装版〕第34巻(小学館)

●脳内の世界観が独特でアーティスティック

 惹かれる男の要素として個性的な「世界観」があると思います。普段は節操がないだけで、能天気な普通の男子に見えるあたるですが、脳内は普段の姿とはかけ離れ過ぎてひくほどシュールな世界観を持っています。

 セクハラに怒ったクラマがあたるの脳内を覗くと、女の子を数珠繋ぎにしたすごろくが登場。女のことしか考えていないことが晒されました。

 また、あたるが精神を吸って成長する卵を拾い、爆発させると学校中があたるの世界観に飲み込まれます。その世界というのが、ジャングルのような姿で、岩肌が巨大な裸婦になっている山や時計や目のある洋ナシが生えた樹木、その幹には蛇口も生えています。さらに女の子を追いかける木、スカートをめくる植物などがあるなか、絶滅危惧種にも選定されるショクダイオオコンニャクも。

 あたるの脳内や精神がこのようなシュールな世界観で構成されていると思うと、能天気は外向きで、実はカオスでクレイジーな感性を持っていて闇と病みを感じます。これはアーティスティックな男の色気でもあるように思います。

●なんやかんやでラムのことが好きな健気さ

 そっけないあたるというより、一途なラムに切なさを感じるふたりの関係。物語が進むにつれ、次第にあたるの心の揺れが描かれていきます。最初、あたるはラムを邪険にしたり、面堂に押し付けたりしていましたが、ラムのことは「かわいい」と思っており「好意」もきちんとあります。

 上述したクラマが暴いたあたるの脳内すごろくのなかにラムはいましたし、姿が牛になってしまう病にかかったと思い込んだラムを思いやり、自宅の庭にウシ小屋を建設しようとしたり、好意を態度で示したりしてきました。その感情の集大成が最終回で繰り広げられた鬼ごっこです。

 この戦いであたるから「好きだ」と言われたいラムと、決して言わないあたる。しかし戦いのなかであたるからの「愛情」を感じ、ハッピーエンドで終わりました。

 このあたるの性分が現れているのが最終ページの「いまわの際にいってやる」の名ゼリフです。暗に「いまわの際まで一緒にいるつもり」であることを告白するのは男前過ぎます。

 これだけ有能な男・諸星あたるに惚れるラムの気持ちは大いに解せます。かといってラムを邪険にしていいのか、と外野は思ってしまいますが、その実ラムもきちんとあたるの愛情を感受していたのだと思います。なのでやはり我々のあたるへのイラ立ちは嫉妬以外なにものでもないように思うわけです。

(南城与右衛門)

【画像】あたるのセリフで賛否…『うる星やつら』を画像で振り返る(5枚)

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