「20年」って早すぎない? 2002年7月放送のアニメ3作品、「深夜アニメ」隆盛の時代
今から20年前の2002年は、深夜のアニメ放送が定着し、大量の作品が世に送り出され始めた時期に当たります。当時評判となった3つの作品を紹介します。
岡崎律子さんや月村了衛氏が活躍
●円盤皇女ワるきゅーレ
TVアニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』(ゆーふぉーぷりんせすわるきゅーれ)は、介錯先生が「月刊少年ガンガン」に連載したマンガを原作とした、ドタバタコメディ作品です。地球で宇宙人の存在が珍しくなくなってから数年が経ったある日、主人公・時野和人はUFOの墜落事故に巻き込まれ、死亡してしまいます。
UFOに乗っていたヴァルハラ星の皇女、ワルキューレに魂の半分を分け与えられ、和人は無事に蘇りましたが、代償としてワルキューレは幼児化してしまい、和人が経営する銭湯「時乃湯(原作では時の湯)」で一緒に暮らすことになったのでした。
まだ原作に忠実なアニメ製作が主流となる前の時代だったこともあり、ストーリーは原作から少し離れたオリジナル展開となりましたが、のちに「機龍警察」シリーズで数々の賞に輝く月村了衛氏が4話以外の脚本を担当しており、アニメとして良質な面白さが保たれています。
また『円盤皇女ワるきゅーレ』で決して忘れてはならないのが、オープニングテーマ「愛しいかけら」の美しい歌声と旋律です。ボーカルは2004年に病気で急逝された不世出の天才、故・岡崎律子さんが日向めぐみさんと結成したユニット「メロキュア」が担当。作詞・作曲も岡崎さんが手掛けており、純度の高い岡崎律子さんを堪能することができる名曲です。『円盤皇女ワるきゅーレ』を見たことがない方は、ぜひその目と耳で、堪能してみてはいかがでしょうか。
●朝霧の巫女
TVアニメ『朝霧の巫女』は、宇河弘樹先生が「ヤングキングアワーズ」に連載した原作をもとにアレンジを加えた作品です。全26話。TVアニメとしては珍しい15分枠で製作されており、テレビ東京のアニメ番組枠「熱血電波倶楽部」で赤松健先生原作の『陸上防衛隊まおちゃん』とともに放送されました。
原作では代々「審神者(さにわ)」の能力を受け継ぐ主人公・天津忠尋が次々と襲い来る化け物に襲われるなか、従妹の稗田三姉妹とともに窮地をしのぎ続ける日々が描かれていましたが、アニメ化された際には原作がまだ単行本3巻分しかなかったこともあり、設定・ストーリーの面で大きな変更が行われています。
ストーリーを完結させるために明確な敵として禍津日神「ヤガレナ」が設定され、その配下として「朝霧の巫女」に対する存在として「黄昏の巫女」も登場しています。ヒロインである稗田柚子の友人などで結成された「巫女委員会」の活躍が強調されるなど、アニメ映えするような改変が行われました。脚本を統括するシリーズ構成の役職は『円盤皇女ワるきゅーレ』と同じく月村了衛氏が担当しており、当時の氏の多忙ぶりがうかがえます。