子供の頃、描いていた「ポケモン」は共通してる? 「弱い子たちばっか!」
『ポケットモンスター』は20年以上、子供らの心をつかんで離しません。小学生の頃は誰もが自由帳に描いたものです。とはいえ好きなポケモンが描けたわけではなく……独自の生態系が生まれていました。
人気ポケモンは総じて描けない? 自由帳にやたら出現していたポケモン
大人気『ポケットモンスター』。今の30代、20代の方の多くは子供の頃、その世代ごとの「ポケモン」に夢中になりました。小学生の頃なら休み時間、自由帳(落書き帳)にポケモンのイラストを描いたり、それを使って紙の上でバトルを展開したりしたことでしょう。
とはいえ、好きなポケモンと描けるポケモンは全く違います。小学校低学年の画力からすれば、自ずと「描けるポケモン」は限られていました。この記事では、とりわけ初代の『ポケットモンスター 赤・緑』に登場するポケモンのなかで、当時の小学生が自由帳に描きがちだったものをピックアップ。小学生の自由帳のなかで特殊な生態系を作っていたポケモンたちを特集しました。
●みんな描いていた「ディグダ」に「ダグトリオ」
小学校低学年といえども、すでに画力に差が生じるもの。そうしたなか、もぐらポケモンの「ディグダ」はどんな画力であろうと簡単に描けるユニバーサルデザインです。逆Uの字を描き、目をチョンチョンとつけて中央に楕円を描いて、地面を表す線を下に入れたらはい、完成。単純な記号だけで立派なポケモンになるのですから、多くの子供らが自由帳やノートの端っこにディグダを出現させ、その場を「ディグダの穴」にしました。
なお、両脇に「ディグダ」を加えるだけで「ダグトリオ」に進化させることも可能。さらに4匹のカルテットにしたり、描けるだけ描き加えて「最強」など言い張ったりする者が続出しました。
●あまりにも、あまりにも簡単だった「ビリリダマ」
一見すると「ディグダ」より簡単そうなのが「ビリリダマ」に「マルマイン」。とにかく丸を描いて真ん中に線を引き、あとは顔を「ビリリダマ」にするか「マルマイン」にするか選ぶだけです。とは言いながら意外と「マルマイン」の眉毛とニヤリとした口元はややこしく、もっぱら小学生たちに選ばれたのは三角の目だけ描けば良い「ビリリダマ」でした。ただ絵描き歌にもあったように丸に線を引いただけで「向こうを向いているマルマイン」という裏技もまた可能だったのです。
●「キャタピー」は描けないが…「ビードル」ならいくらでも描ける!
さらに自由帳を彩ったのが「トキワのもり」に登場する、けむしポケモンの「ビードル」です。こちらはお団子が連なったような姿をしており、顔はほぼ「ディグダ」と同じ。あとはツノを描くだけというこれまた実に単純で小学生が「描かざるを得ない」デザインと言えるでしょう。
一方、同じくトキワのもりに登場する、いもむしポケモン「キャタピー」はというと、誰もが一度は挑戦しながらも意外と複雑な体の構造に気付き、あえなく挫折。なかったことにして再び「ビードル」を描く作業に戻ります。
●「ピカチュウ」という大きな壁
『ポケモン』と言えばなんといっても「ピカチュウ」です。その人気は絶大であり、アニメでも、ゲームでも、特権的地位を与えられた存在でした。ということで当然、小学生たちも2Bの鉛筆片手に「ピカチュウ」を描こうとしますが、まずどんな姿だったのか思い出せない。手近なポケモングッズに参考に描こうとしても顔と胴体のバランスがあっというまに崩れ、とてもかわいいとは言えぬ肥った生き物を誕生させてしまいました。
●画力がなければ知識で差をつけろ! 「ハイパーボール」「マスターボール」
ポケモンを捕まえるための「モンスターボール」類もよく自由帳に登場しました。これには理由があります。「ピカチュウ」であろうと「リザードン」「フシギバナ」「カメックス」であろうと、絵が上手な子にかかればあっという間です。こうした確固たる実力差は一部の小学生を知識へと走らせ、結果として「モンスターボール」「スーパーボール」「ハイパーボール」「マスターボール」を描き分けられるマニアックな小学生が誕生することとなりました。
『ポケモン』が登場してから四半世紀。2022年11月18日には『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』が発売されます。『ポケモン』自体の操作性やグラフィックが向上しても小学生たちの基本的な画力は据え置きのまま。令和の小学生だって「ピカチュウ」を描くのはひと苦労です。果たして次はどのポケモンが「ディグダ」や「ビリリダマ」になるのでしょうか? 自由帳にだけ生息していたポケモンたち……今思えばそれにしても弱い子たちばかりでした。
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(片野)