悲劇ばかり生み出した「サイコ・ガンダム」たち ネオ・ジオンに渡った「数奇な運命」も
『Zガンダム』に登場した数多くの機体のなかでも、重厚なデザインと圧倒的な火力で存在感を見せつけたのが「サイコ・ガンダム」でした。視聴者が忘れられない悲劇を作中で生み出し、続編の『ZZ』にも登場した機体たちを振り返ります。
カミーユとフォウに悲劇をもたらしたサイコ・ガンダム
『Zガンダム』に登場した機体のなかで、悲劇的なストーリーとともに視聴者の記憶に残るのが、「サイコ・ガンダム」です。重厚なデザインと圧倒的な火力を備えながらも、操縦者であるニュータイプや強化人間に大きな負荷をかける点が悲劇につながっていきます。
●MRX-009 サイコ・ガンダム
「MRX-009 サイコ・ガンダム」は地球連邦軍のニュータイプ研究所のひとつであるムラサメ研究所が開発したニュータイプ/強化人間用大型可変モビルアーマーです。モビルアーマー形態の全高は30.2メートル、モビルスーツ形態では40メートルを超えており、ガンダムMK-IIの18.5メートルの2倍以上の大きさを誇ります。第17話「ホンコン・シティ」で初登場した際には周囲のビルよりも背が高く、ガンダムMK-IIをはるか上から見下ろす姿で、まるで怪獣のような描写がなされました。
モビルアーマー形態ではミノフスキー・クラフトによる飛行能力を備え、Iフィールドを装備しているためビーム攻撃に対する防御能力も極めて高くなっています。武装としては腹部に3連装拡散メガ粒子砲を備え、さらにモビルスーツ形態では指に搭載された10門のビーム砲及び頭部のメガ・ビーム砲が使用可能となります。まさに「要塞が如(ごと)し」です。出力は3万3600kWと、ガンダムMK-IIの1930kWの17倍以上を誇り、圧倒的な攻撃力を支えています。
火器管制や操縦については脳波コントロールシステムであるサイコミュによって制御されているために、ニュータイプ/強化人間のみが操縦可能となっていますが、地球連邦が確保している強化人間のニュータイプ能力はそれほど高くはないため、サイコミュ・システムを巨大にせざるを得ず、機体の大型化を招きました。
その圧倒的な戦闘力でカミーユ・ビダンを苦しめましたが、本機のサイコミュ・システムはパイロットのフォウ・ムラサメに極端な精神的負荷をかける仕様となっており、カミーユとフォウに交友があったことも影響し、安定した戦力として稼働するには難がありました。
機体は2機が生産されており、1号機は宇宙に戻ろうとするカミーユのガンダムMK-IIを援護するためスードリに体当たりし、爆発に巻き込まれて喪失。2号機はキリマンジャロ基地での戦いに投入され、ジェリド・メサのバイアランによる攻撃からカミーユをかばった際に撃破され、フォウも戦死しました。行き過ぎた地球連邦のガンダム信仰が生み出し、悲劇ばかりをもたらす呪われた機体といえるでしょう。