【漫画】亡くなった妹の「人魚葬」を望む姉 夢のような葬儀を実現する物語が「美しい」
特殊なスタイルの葬式を請け負う葬儀屋。依頼者から、生前に「人魚になりたい」と願っていた妹のために「人魚葬」をお願いしたいとの要望があって……。イラストレーターの桜プリンさんが描く美しい創作マンガ『葬儀屋のソウギさん』が話題です。
おごそかに粛々と依頼人の願いを叶える葬儀屋
妹を病気で亡くした姉が、葬儀屋の「ソウギさん」のもとを訪れます。彼女が妹の葬儀の形式として指定したのは「人魚葬」。生前に「人魚になりたい」と話していた妹の願いを叶えるためです。「人魚葬」は突拍子もない依頼のように思われますが、「ソウギさん」はこの頼みを受けて、見事なまでの「人魚葬」を実現させるのでした。
イラストレーターとして活躍する桜プリンさん(@kuiruri)が、創作マンガ『葬儀屋のソウギさん』シリーズの第1話をTwitterで再掲載しています。このシリーズは、一般的ではない特殊な葬儀の依頼を「ソウギさん」が叶える物語です。
作品に対して読者からは「美しくてとても好きです」「すごすぎる」「絵柄もストーリーも好き」など、感嘆の声が多数あがっています。美しい「人魚葬」のシーンについては、「まるでタロットカードのよう」とのコメントも見られました。再掲載時のTwitter投稿には1600件を超える「いいね」が集まっています。
作者の桜プリンさんに、お話を聞きました。
ーー桜プリンさんがイラストやマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。
きっかけは、もともとマンガやイラストの好きな作品を真似て描き始めたことです。特に意識して描くようになったのはだいぶ後からで、その時は周りの友人のイラストの上手さに追いつきたいと思って、毎日必死にイラストを描いていた記憶があります。
ーー『葬儀屋のソウギさん』シリーズは、どのように生まれましたか?
『葬儀屋のソウギさん』は私の実体験、また空想をもとにして生まれた作品です。
あまり楽しい話ではありませんが、幼い頃から葬儀というものに縁がありました。衝撃、混乱、悲しみ。さまざまな体験や思いをしてきました。しかし、そのなかでも、そこで触れた職員の方の仕事への丁寧さ、思いやりや温かさが印象に残っており、「葬儀屋とは一体どのような職業なのだろう」と日頃から考えていました。
その後、実際に葬儀屋として働かせていただき、そこで得た仕事への誇りややりがいをどうにかして表現したいと考えました。そこでマンガという形を選び、そして自分の考えた「もしもこんな葬儀があれば」という空想をもとに『葬儀屋のソウギさん』ができあがりました。
ーー第1話の題材を人魚にしたのは、どのような理由からでしょうか?
もともと第1話は「水葬」をテーマにお話を考え、童話の『人魚姫』をもとにすることに思い至りました。童話の『人魚姫』はとても解釈の分かれる終わり方をするお話だと感じており、そのお話では、最後に人魚姫は海の泡となって消えてしまいます。彼女が幸せだったのかそうでないのかは、お話を読む方によって違うでしょう。
同じように第1話の彼女が幸せだったのかそうでないのかは、マンガを見る方がそれぞれ思い描いてほしい、と。そのような考えから私は『人魚葬』を仕上げました。
ーーマンガを描くうえでポイントとしていることは何かありますか? 1枚絵のイラストの場合と異なる部分もあれば教えて下さい。
まだまだマンガを勉強している身ではございますが、「短く、心に残る作品を」と心掛けております。1枚絵では文字を使って表現することがあまりできませんが、マンガではそれができます。なのでどこかにひとつ、「誰かの心に残れたらいい言葉」を組み込んで描くことを意識しています。
ーー作品に対する反応で、特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
「実際の葬儀屋としては、ここまでできないもどかしさ。理想と現実の狭間で戦っている」というコメントが、印象に残っています。そう、そうなんです。実際の葬儀屋ではできないんです。
私も当時、どうにもできなかったことがあり、もどかしさや現実を感じました。それらを取っ払って、葬儀屋の「理想」を詰め込んだものが『葬儀屋のソウギさん』ですから。その言葉にひどく共感して、特に印象に残っています。
もちろん、「自分もこんな葬儀だったら良いな」という反応も多数いただき、大変うれしかった記憶もあります。
ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか? 『葬儀屋のソウギさん』シリーズの続編も発表されるご予定はありますか?
今後も、自由に活動していきたいとは考えておりますが、『葬儀屋のソウギさん』をメインとして描いていけたらと思っています。続編も現在誠意制作中です! お待ちいただけてる方がいるのであれば、今後もどうぞ『葬儀屋のソウギさん』をよろしくお願いいたします!
(マグミクス編集部)