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『ポケモン』『デジモン』“じゃない方”のモンスター育成ゲーム「パクリとも言い切れぬ」

『ポケモン』『デジモン』以外にも、平成時代にはたくさんの「モンスター育成ゲーム」が登場しました。今では忘れられてしまっている「じゃない方」のゲームたちを記憶から掘り起こします。

サンリオとバトルの珍妙な組み合わせ

ゲームボーイソフト『ポケットモンスター 赤』(任天堂)
ゲームボーイソフト『ポケットモンスター 赤』(任天堂)

 1990年代後半、モンスター育成ゲームの一大ブームが巻き起こりました。『ポケットモンスター』、『デジタルモンスター』を筆頭に、自分のモンスターを敵と戦わせて成長させるシステムが小学生の心を突き刺したのです。

 さてブームのまっただなかにおいては、各メーカーがこぞってモンスター育成ゲームをリリース。この記事では『ポケモン』『デジモン』(あるいは『モンスターファーム』)以外の、覇権を取るには至らずとも十分に異彩を放っていた「じゃない方」育成ゲームを振り返ります。

●サンリオキャラとモンスターバトル!『サンリオタイムネット』

 異彩ぶりにおいて今なお色褪せないのが、1998年にゲームボーイ用ソフトとしてリリースされた『サンリオタイムネット』(イマジニア株式会社)です。基本的にはモンスターを仲間にして戦わせるシステムなのですが、その対戦相手がサンリオキャラクターなのだから大変です。

 バッドばつ丸やけろっぴといった、サンリオのスターたちとモンスターバトルができます。とはいえ、けろっぴたちもまた極めてモンスター寄りである感は否めず、なんともくすぐったい世界観でした。ちなみにハンギョドンはなぜか「モンスター側」として登場します。また敵モンスターはサンリオ的なかわいらしい姿のもいれば、顔が中心にめり込んでいる「おしぶババァ」などなかなか珍妙なキャラもおり、サンリオワールドの奥深さを堪能できる仕様となっていました。

厳密には「育成」じゃなかった? CMだけは耳に残ったゲーム

●育てるのか? 戦わせるのか?『ジュラペット』

 育成ゲームも『ポケモン』『デジモン』のようにバトルさせるものと『たまごっち』のように育成それ自体を目的としたものとに分かれます。その点において1997年発売の『デジタル恐竜たまご ジュラペット』(株式会社ツクダオリジナル)は一見するとどちらか分からないゲームでした。

 たまご型の形状は『たまごっち』ですが、表面のゴツゴツ感は『デジモン』を感じさせます。実態はというと映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』に登場する恐竜に育てることを目的とした『たまごっち』タイプのゲーム。パッケージ裏にも「キミだけのかわいいペット恐竜として、たいせつに育ててください」としっかりと記載されています。ちゃんとご飯をあげて、わがままをしかり、愛情をこめて恐竜を育てていきます。

 ただし少ないドット数で恐竜を再現することはさすがに不可能だったと見えて、きわめて簡略化された恐竜たちがすくすくと育っていくことになります。それはそれで、かわいいのです。

●CMソングがいまだに耳から離れない『ヨーカイザー』

「妖~怪退治は~ヨーカイザ~♪」の歌と共に水戸黄門ご一行が練り歩くCMでおなじみだったのが1998年にバンダイから発売された携帯ゲーム『ヨーカイザー』です。同年発売された『ドラゴンクエスト あるくんです』と同様、万歩計を搭載し歩数によってイベントが生じるシステム。歩いていると妖怪と遭遇し、倒すと仲間にすることができるのです。

 さていかにも妖怪をゲットして育ててバトルできそうな雰囲気でしたが、残念ながら妖怪と戦って仲間にしたら図鑑に登録するのみ。あくまでも妖怪図鑑のコンプリートを目的とした極めてストイックなゲームだったのです。実際、妖怪と遭遇するには画面上に表示された歩数なさなくてはならず、遭遇しても負けたら仲間にできません。

 こうした遊び部分の少なさからか、CMやコミカライズなど販促戦略も十分だったはずも、ブームには至りませんでした。ゲームが妖怪ブームを牽引するのはそれから15年後。2013年の『妖怪ウォッチ』まで待たなくてはなりません。

 ここまで「じゃない方」育成ゲームたちを振り返ってみました。商業的な大ヒットとはならずとも『デジモン』『ポケモン』あるいは『たまごっち』といった巨大タイトルに正々堂々勝負を仕掛けていった名作たち。もし実家の押入れにある方は、電池を入れ替え久々に起動してみてはいかがでしょうか。

(片野)

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