マグミクス | manga * anime * game

『ガンダム』なぜ、あんなに種類必要? 水陸両用MSのナゾ

夏と言えば、水陸両用モビルスーツ! そんなイメージを持つガンダムファンも多いと思いますが、改めて考えてみると、『機動戦士ガンダム』では、登場する水陸両用モビルスーツの数が多いと思いませんか? なぜ、そんなに水陸両用モビルスーツが必要だったのでしょうか? それぞれの機体ごとの特性から水陸両用モビルスーツに何が求められ、どうして種類が増えてしまったのか紐解いていきましょう。

「宇宙育ちの軍隊」が地球の海の戦いを制するための兵器開発

水陸両用MSの開発競争に勝ち主力機の座を射止めたズゴックはエースパイロットのシャアも搭乗。画像は「MG 1/100 MSM-07Sシャア専用ズゴック」(BANDAI SPIRITS)
水陸両用MSの開発競争に勝ち主力機の座を射止めたズゴックはエースパイロットのシャアも搭乗。画像は「MG 1/100 MSM-07Sシャア専用ズゴック」(BANDAI SPIRITS)

 ジオン公国が地球侵攻作戦を行うなかで新たに必要となったのが、水陸の両方で運用できるモビルスーツの存在でした。スペースコロニーには存在しない、広大な海でモビルスーツを使用してどう戦うか? ジオン公国軍が求めていった兵器の在り方が、限定条件でのみ運用されるモビルスーツを多く生み出すことになっていきました。

 では、どうしてさまざまなスタイルの水陸両用モビルスーツが必要だったのでしょうか? 用途別に開発されることになる水陸両用モビルスーツの発展史を解説していきましょう。

●水中での使用を前提に汎用性を捨てて進化

 ジオン公国軍は、地球連邦軍の勢力圏である地上に降り立ち、対抗していくためには陸、海、空のそれぞれの領域で対抗しうる兵器を用意する必要がありました。

 陸と空に関しては、モビルスーツの存在とコロニー内で開発してきた航空戦力によってある程度対応できましたが、大きな障害となったのは地球の大部分を覆う「海」の存在でした。モビルスーツを持たないながらも、地球連邦軍は海上で使用可能な軍用艦や潜水艦を多数擁しており、海での戦闘に関しては大きくリードしていました。それに対し、船や潜水艦の数が少ないジオン公国軍は、宇宙空間と同じようにモビルスーツ頼りの海上、海中戦闘を行わなければなりませんでした。

 ジオン公国軍も地球侵攻作戦を行うに際して、海を攻略することの重要性は理解しており、作戦実行に向けて水中用モビルスーツの開発を行っていました。そのテストベッドとなったのが、MS-06ザクIIをベースに開発されたMS-06M水中用ザクです。

 ザクの基本フレームを活かしつつ、水中用のシーリングや耐圧処理、推進機構を取り付けたザクは、水中での行動を可能としたものの、水中での移動スピードの低さ、艦船への攻撃力の弱さ、構造的な問題から運用可能な水域が浅いなど、問題点が多く挙げられることになります。また、水中用の外装は、地上に上がった際には運動性や機動性が低下してしまうという欠点も明らかとなりました。

こうしたデータのもと、水陸両用モビルスーツは下記のような条件を克服しなければならなくなります。

・水中での移動能力や行動範囲を広げるのに特化した強度と形状、推進力の獲得
・水中での対艦攻撃能力と地上での対モビルスーツ戦闘などに対応する武装
・水中だけでなく、地上でも高い運動性能を発揮する性能

 モビルスーツと言えば、局地戦に特化する形で機能面の強化を図る形で進化を遂げるものの、一方で、5指型のマニピュレーターで武装を装備し、武器の共通化や運用目的にあわせた武装変更が容易な「汎用性」が重要視されていました。しかし、水陸両用MSは汎用性を捨て、使用する場所を限定する専門性に特化する方向で進化することになります。その結果、水陸両用モビルスーツのなかで、運用目的に合わせた機体開発がなされ、機体の種類が増えていくことになります。

 水中用モビルスーツは、ジオン公国にある兵器メーカーであるジオニック社とツィマッド社が同時に開発を開始します。

 ツィマッド社とジオニック社は共に、運動性の向上やメガ粒子砲を内蔵するために、ザクIIなどと比較するとより高出力を発揮できる大型のジェネレーターを内蔵した重モビルスーツとして水陸両用モビルスーツの開発が行われることになります。海なかから軍艦の底部を物理的に攻撃可能な強固なツメ型の武装の装備、手持ち式ではない内蔵型メガ粒子砲や魚雷発射装置を取り付けるという基本的な思想は変わらないながらも、いくつかのアプローチが異なる機体が完成することになります。

 ツィマッド社は腕部を格納することで水中の移動能力を向上させ、重装甲と腹部に配置したメガ粒子砲による攻撃力を持つことで、上陸作戦時の活躍を期待できるMSM-03ゴッグを開発。ジオニック社は、両腕の内部にメガ粒子砲を内蔵することで腕を向けた方向へフレキシブルな攻撃能力を持ち、地上では高い運動性能を発揮できる設計を行ったMSM-07ズゴックの開発を進めます。

 結果的には、ゴッグの方が早く完成を迎えたため、型式番号は若くなりましたが、ジオン公国軍としては、パワーがありながらも運動性が低いゴッグよりも、トータルバランスがよく、水陸の両面で戦闘能力の高いズゴックを主力の水中用モビルスーツとして採用することになります。

【画像】見た目可愛い? いろんなデザインの水陸両用MSを見る(5枚)

画像ギャラリー

1 2