【漫画】生活のために派遣で働く漫画家 職場で出会った夢追う若者との交流に「グッときた」
漫画家でありながらもマンガ関係の仕事がなくなり、マンガとは無関係な派遣の仕事で食いつないでいた吉住ケンタさん。いっそのことマンガをやめようかと迷いも生じるなか、職場で同じくマンガを描く若者と出会い……。
年は離れていても同じ夢を追いかける者どうし
吉住ケンタさん(@zumizumizumi31)は、マンガ雑誌での読み切り作品の掲載などの経歴を持ちながらも、その後は一向に日の目を浴びないことに悩んでいました。生計を立てるため、マンガとは無関係な業種でアルバイトの日々。マンガを描くのをやめることも頭をよぎります。そんなとき、仕事場で自分と同じくマンガを描く若者と出会いました。
このエピソードが『バイトしたらマンガ青年と出会った』というタイトルの作品として描かれ、Twitterで公開されています。「三十路超」の吉住ケンタさんに対し、アルバイトの現場で出会った若者は当時21歳。年の離れたふたりですが、彼との交流を通して、吉住ケンタさんは大きな刺激を受けたようです。
読者からは「こういうお互いに競い合える相手って大事ですよね」「涙腺にきた」「おふたりの活躍が見たいですね!」など多くのコメントが寄せられました。Twitter投稿には7000件を超えるいいねがついています。
作者の吉住ケンタさんに、お話を聞きました。
ーー吉住ケンタさんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。
学生時代から鉛筆でマンガを描いていました。学生デビューしたかったのですが、いざ描こうとすると「マンガってめちゃくちゃ大変……」と思い知りまして、まごついている間にあっという間に学生時代が過ぎ去りました。これはマズイと思い、今まで描いてきた鉛筆マンガのキャラクターをちゃんと「マンガ」の形にして、読み切りとして投稿しました。その作品が賞に引っかかり、デビューのきっかけとなりました。
ーー今回のエピソードをマンガとして描いて発表したのは、どのような思いからでしょうか?
実体験をマンガによく入れ込んだりするのですが、K林くんがすごくいいキャラクターだったので「やり取りをまるっとそのまま描きたいなー」と、彼に出会ったときに思っていました。本人の了承もいただいています(笑)。
ーー最終的に、吉住ケンタさんがマンガを描くことをやめなかった理由は何でしょう。やはり、K林さんとの出会いの影響が大きかったですか?
自分がやめることを考えたとき「ほかに何をすればいいんだろう?」という疑問は常にありました。K林くんが作品に取り組んでいるのを「自分もこんなふうに描けたらなあ……」と、うらやましく思っていました。その気持ちのなか、突然職場がなくなったので「この出会いと体験をマンガにしよう!(暇になったし)」と思い、描きました。
彼との出会いは、マンガを再び描こうと思うに至った大きな出来事のひとつです。
ーー本作からは、同じ目標を持つ人との交流が、夢を追うための刺激になることが感じられました。K林さんと年が離れていることについては、どのように感じましたか?
むしろうれしかったですね! ひとまわりくらい違う人と話して、ジェネレーションギャップを感じるのも面白いし、好きなことから共通点を探っていけるのも楽しかったです。
ーー作品に対する反応で、特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
マンガを描いてる人にけっこう読んでいただけたようで、「グッときました」というお言葉をいただけました。「青春してる」とか「熱いじゃん」というお言葉もうれしいです。自分はだいぶ大人になったと思ったけれど、まだ青春できると感じられるので。
ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?
今回のようなエッセイマンガも含め、短いマンガを中心に載せていきたいと思っています。フックのある、誰かひとりでも心に刺さるようなマンガを描いていきたいです。
(マグミクス編集部)