『ドラクエ』モンスターの裏設定に泣いた! 夢中で読んだ関連書籍の想い出
国民的RPG「ドラクエ」シリーズが大ブームとなった1980年代後半。発売元のエニックス(現 スクウェア・エニックス)からは、ゲームをより一層楽しいものにする魅力的な関連書籍が多数刊行されました。それにリアルタイムで触れた筆者が、その魅力の一端を振り返ります。
ゲーム本編が倍楽しくなる!

1980年代後半。エニックス(現 スクウェア・エニックス)がファミコンで「ドラゴンクエスト」シリーズを続々とリリースして当時のゲーム少年たちを夢中にさせる一方で、ゲームプレイをより一層楽しいものにする「ドラクエ」関連書籍も数多く出版されました。
●武器防具のデザインにワクワクした「公式ガイド」
最初に振り返るのは「公式ガイドブック」シリーズです。ファミコンで『ドラゴンクエストIII』が発売された1988年に、『III』→『II』→初代『ドラクエ』の順で相次いで発売されました。初代『ドラクエ』は黒、『II』は青、『III』は赤…とそれぞれのゲームのパッケージデザインにちなんだカラーをあしらった色使いや、3冊そろえて横に並べると「ロトの剣」のイラストがひとつなぎになるデザインにシビれました。
筆者が一番楽しく読んでいたのは全武器・防具の紹介です。ひとつひとつの武器・防具にきっちりイラストが添えられており「こういう見た目なのか!」と何度も何度も読み返していました。そうしたデザインは今も多くが踏襲されており、武器や防具の見た目をゲーム中で確認できる『ドラクエIX』、『X』、『XI』などに活用されています。
●ゴーレムのけなげさに感動!「モンスター物語」
モンスターたちにスポットを当てて来歴や日常などを描くオムニバス形式のサイドストーリー集で、「ドラゴンクエスト モンスター物語」、「ドラゴンクエストIV モンスター物語」の2冊が発売されました。
「ドラゴンクエスト モンスター物語」で印象に残っているのは「メルキドの守護神ゴーレム」です。ゴーレムはメルキドの町を竜王の軍勢から守るために人間が生み出した存在でしたが、竜王軍が投入した「きめんどうし」からメダパニの呪文を受けて混乱してしまいます。
しかし、町を侵入者から守るという本来の命令を守る気持ちも残っていたため、「町に入ろうとするものは、人でも魔物でも片っ端から倒そうとする」存在になってしまった…という初代『ドラクエ』の前日譚となっていました。
そして本書籍で一番の存在感を発揮するのが「スライム年代記」です。安住の地を求めて旅をするスライムたちが、行く先々でさまざまな苦難に見舞われてバブルスライムやホイミスライム、メタルスライムなどにさまざまな進化(?)を遂げていく過程がコミカルかつ壮大に描かれました。
●「けんじゃのいし」の真実にビックリ!「アイテム物語」
前述の「モンスター物語」と同じコンセプトで、特定のアイテムを主題としたエピソードが描かれるサイドストーリー集です。
「大不況 ゴールドカードの誕生」は、平和な時代が長く続いたゆえに、皮肉にも大不況に見舞われてしまった商人たちの物語。彼らは知恵を出し合い、新たな需要を生み出す起死回生の一手として全国展開の「ふくびき」と、目玉景品である恒久割引券の「ゴールドカード」を思いつくのでした。ちなみに筆者は『ドラクエII』でゴールドカードを当てたことがありません。
読者を一番驚かせたのは「賢者の石の謎」でしょう。『ドラクエIII』の勇者が残した、使用者たちの体力を瞬く間に回復する「けんじゃのいし」。青く輝く石のどこにそんな力があるのか研究に研究を重ねた学者たちは、ついにその謎を解き明かします。すると石のなかからは「ホイミン」の愛称で知られるあのモンスターが大量に飛び出してきて……? シリーズファンにはおなじみの重要アイテムが、かわいらしく見えてくるエピソードでした。