河崎実監督が語る、特撮ドラマの「伝統美」 合体ヒーローは日本特有の文化?
男女が合体変身する特撮ドラマ『ウルトラマンA』や戦隊ヒーローもの『バトルフィーバーJ』など、1970年代~80年代には合体ヒーローや合体ロボットが大流行しました。愛知県幸田町を舞台にした新作映画『超伝合体 ゴッドヒコザ』を撮った河崎実監督に、合体ヒーロー&合体ロボットの歴史を楽しく語ってもらいました。
愛知県幸田町を舞台にした特撮コメディ
日本では1970年代より、合体ヒーローや合体ロボットが登場する特撮ドラマ、SFアニメが大変な人気を誇っています。そんな合体ヒーロー&合体ロボットの魅力をてんこ盛りにした特撮コメディが、河崎実監督の『超伝合体 ゴッドヒコザ』です。愛知県幸田町でロケ撮影された新作映画で、2022年9月2日(金)よりイオンシネマ岡崎、9月3日(土)より名古屋シネマスコーレ での公開が始まります。
本作の製作総指揮を務めたのは、幸田町で「都築仏壇店」を営む工芸デザイナーの都築数明(つづき・かずあき)さん。「ウルトラ木魚」や「漆塗りフィギュア」などで特撮愛好家に知られる都築さんは、1981年にTV放映されたSFアニメ『六神合体ゴッドマーズ』の大ファンだそうです。そんな都築さんが、「バカ映画の巨匠」と呼ばれる河崎実監督とタッグを組み、町おこし映画として製作したのが『ゴッドヒコザ』です。
メインキャストは、『ミュージカル・テニスの王子様』でデビューした八神蓮さん、綾瀬はるかのモノマネで人気の沙羅さん、『ウルトラマンA』でTAC隊員だった佐野光洋さんら、愛知県出身者たち。江戸時代に「天下のご意見番」として活躍した旗本・大久保彦左衛門の子孫・大久保忠雄(八神蓮)が、幼なじみの馬場貴穂(沙羅)と合体変身し、邪悪宇宙人シャチホコーンと戦うという物語です。
反応が微妙だった『ウルトラマンA』の男女合体
合体ロボが登場する「戦隊ヒーロー」ものは、1979年に放映された『バトルフィーバーJ』以降、新作シリーズが毎年製作されています。しかし、なぜ日本人はこうも合体ヒーローや合体ロボが大好きなのでしょうか? 特撮ドラマに詳しい河崎実監督が、合体ヒーロー&合体メカの歴史を語ってくれました。
「合体メカとして日本の特撮ドラマに初めて登場したのが、1967年に放映された『キャプテンウルトラ』のシュピーゲル号。主人公たちが乗る3機分離の宇宙ロケットです。合体メカというと、やはり3機分離する『ウルトラセブン』のウルトラホーク1号が有名ですが、『キャプテンウルトラ』の放送が先でした。
元祖合体ロボは『ウルトラセブン』の第14話、第15話に登場したキングジョーです。その後、1972年に放送された『マジンガーZ』や1974年放映の『ゲッターロボ』などの巨大ロボットアニメに踏襲され、大人気を博すことになります」
合体ヒーローものとしては、1972年に放映された特撮ドラマ『超人バロム・1』『ウルトラマンA』『トリプルファイター』、1976年に放映された『宇宙鉄人キョーダイン』などが挙げられます。
「ウルトラマンやウルトラセブンの人気が高かったため、新機軸として円谷プロが打ち出したのが男女合体する『ウルトラマンA』でした。男の強さと女の優しさを併せ持った完璧なヒーローとして考え出されたものです。でも、当時の子供たちは男女合体という設定に抵抗があり、思ったほど流行しなかった。結局、シリーズ途中で男性主人公ひとりで変身するようになりましたね。
同じく円谷プロ制作の『トリプルファイター』は、3人兄妹が合体変身するという斬新な帯番組でした。東映の戦隊ヒーローものに影響を与えていると思います。男同士が合体変身する『バロム・1』や『キョーダイン』は、BLタッチで現代的にリメイクすると面白いかもしれません」