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河崎実監督が語る、特撮ドラマの「伝統美」 合体ヒーローは日本特有の文化?

1970年代「合体もの」大流行の背景には宇宙開発が?

「ゴッドヒコザ」に合体変身する、忠雄と貴穂
「ゴッドヒコザ」に合体変身する、忠雄と貴穂

 合体ロボの人気を高めたのは、「1974年から発売が始まった『超合金シリーズ』の存在が大きい」と河崎監督は指摘します。玩具メーカー「ポピー」が販売した『超合金マジンガーZ』のゴージャスさに、当時の子供たちは憧れました。玩具展開があったことで、合体ロボは現在まで高い人気が続いていると言えそうです。

 また、1970年代に合体ものが大流行した背景には、米国が進めた「アポロ計画」の影響もありそうです。1969年にアポロ 11号が月面着陸し、その様子は世界に生中継され、大変な話題となりました。月着陸船と母船が着離脱する場面も印象的でした。1975年には米国とソ連との共同プロジェクト「アポロ ・ソユーズテスト計画」が実施され、アポロ宇宙船とソユーズ宇宙船が地球軌道上で「ドッキング」する瞬間が、中継されています。

 河崎監督は、「アポロ の月面着陸はテレビの前に座って、リアルタイムで見ていました。アポロ 計画やその後のスペースシャトルが、日本の特撮ドラマやSFアニメに大きな影響を与えたのは確かでしょう」と語ります。

特撮ドラマと日本の伝統芸能との関係性

 複数の主人公たちが時にはケンカしながらも、ピンチになると一致団結し、合体変身したり、合体ロボを操縦したりする……そんなお約束的な展開が日本では人気となっています。海外にも『アベンジャーズ』や『ザ・スーサイド・スクワッド』などの集団ヒーローものはありますが、合体することはありません。「合体ヒーロー&合体ロボ」は日本独自の文化でもあるようです。

「米国で1990年代にTV放映された特撮ドラマ『パワーレンジャー』は、日本の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』をベースにしたもので、大変な人気でした。日本でおなじみの戦隊ヒーローものは、米国の子供たちにはとても新鮮に感じられたようです。ギレルモ・デルトロ監督の『パシフィック・リム』(2013年)は、合体はしませんが、男女が意識をシンクロさせることで巨大ロボットを操縦します。デルトロ監督の日本の特撮ドラマやSFアニメに対するリスペクトを感じさせた作品です」(河崎監督)

 河崎監督は、日本の特撮ドラマやアニメーションの源流をたどっていくと、日本特有の文化や精神性に触れることにもなると話してくれました。

「東映の名物プロデューサーだった平山亨さんは、歌舞伎の『白浪五人男』をヒントにして、戦隊ヒーローものの第1作『秘密戦隊ゴレンジャー 』を思いついたそうです。また、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の演出を手掛けた実相寺昭雄監督は『特撮は伝統芸能だ』と語っていました。仮面を付けたヒーローたちは顔の表情は変わりませんが、怒りや悲しみが視聴者には伝わってきました。能や人形浄瑠璃、文楽と繋がるものがあるんじゃないでしょうか。僕自身も、着ぐるみは日本独自の文化だという考えで、今後も怪獣映画を撮り続けていくつもりです」

 和を重んじる日本人ならではの美意識、様式美が強く反映されたものが、合体ヒーローや合体ロボなのかもしれません。

(長野辰次)

※『超伝合体 ゴッドヒコザ』は、2022年9月2日(金)よりイオンシネマ岡崎、9月3日(土)より名古屋シネマスコーレ ほか全国順次公開中です。

製作総指揮/都築数明 監督/河崎実 主題歌&エンディングテーマ/タブレット純
出演/八神蓮、沙羅、磯原杏華、南翔太、谷口洋行、澄川友哉、佐野光洋、イジリー岡田
配給/エクストリーム
(C)2022 ゴッドヒコザプロジェクト

【画像】綾瀬はるか芸人が魅力をふりまく!『超伝合体 ゴッドヒコザ』の一部シーン(8枚)

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