今も耳に残る「家電量販店のテーマソング」たち アニメとの意外なつながりが多い?
まだテレビが娯楽の王様だったころ、さまざまな企業が印象に残るテーマソングを放送し、存在感をアピールしていました。特に、都市部を中心に展開する家電量販店は、独特の耳に残るテーマソングをCMで流していました。
地方ごとのバリエーションも豊富だった

かつて、さまざまな家電量販店がTVCMに力を入れ、耳に残るテーマソングを流していました。すでに「懐かしい歌」になったテーマソングもありますが、それらの元ネタや成り立ちをひもとくと、アニメやアニソンなどとの以外な関係性も見えてきました。
●「ヨドバシカメラの歌」
「ま~るい緑の山手線 真ん中通るは中央線」の歌詞でおなじみ「ヨドバシカメラの歌」は、1975年の新宿西口本店(現:マルチメディア東館)の開店を記念して作られたテーマソングです。アメリカの南北戦争の際に北軍の行軍曲として使用された「リパブリック讃歌」の替え歌で、創業者の藤沢昭和氏が自ら作詞を手掛けています。
初期の歌詞では「山手線」を「やまのてせん」ではなく「やまてせん」と歌っていましたが、これは山手線が終戦後の1945年にGHQの指導によりローマ字表記を行うことになり、その際に「YAMATE」の表記が用いられたため1971年に改められるまで「やまてせん」の呼び方が一般に定着していたためとされています。
さまざまな歌手がボーカルを務めていますが、なかでも有名なのが『聖戦士ダンバイン』などで知られるMIQ(2001年以前はMIO)で、1990年から担当し続けています。店舗によっては別の歌手のバージョンに差し替えられている場合もありますが、現在も多くの店舗で使用され続けています。なお、現行のバージョンでは「やまのてせん」と歌っていますが、初期のバージョンでは「やまてせん」となっています。
現在では地域ごとに路線名が変更されたバージョンが作られており、ヨドバシカメラ公式YouTubeチャンネルで聞くことができます。
●「オノデンボーヤ CMソング」
「オーノーデンー坊やはー」の歌い出しが印象的な「オノデンボーヤ CMソング」は、秋葉原に店を構える家電量販店「オノデン」が1980年ごろからCMに使用している楽曲です。ボーカルは「パタパタママ」や「はたらくくるま」など数多くの児童歌やCMソングを手掛けた、のこいのこ氏。
時期によってバージョンは異なりますが、明るく元気なオノデン坊やがさまざまな家電と共に宇宙を駆け巡ったり、ロボットから飛び出してきてパソコンを操ったりするなど、その時代ごとに多くの人が必要としたものがアニメーションで描かれ、明るい曲調とともに紹介されているのが大きな特徴です。オノデン坊やが商品を紹介するバージョンもあり、その際の声優は小桜エツ子さんが務めています。
近年はあまり見ることはなくなっていましたが、2021年にはオノデン創業70周年を記念して新作が登場、オノデン坊やの復活を喜ぶ声があがりました。