異業種を経験した漫画家3選 警官の日常のリアルさ、コロナまで描くこだわりに驚愕
マンガ界屈指の長寿シリーズにも作者の経験が活きている!

●リアル過ぎる会社員の日々は、モデルとなった企業の勤務経験から? 弘兼憲史先生
1983年から始まり、23年には40周年を迎える長寿作品「島耕作」シリーズは大手電器メーカーで働くサラリーマンたちのドラマを描き、映像化もされています。作者の弘兼憲史先生は、松下電器(現:パナソニックホールディングス)に勤務していた3年間の経験を、主人公・島耕作が務める作中の大手電器メーカー「初芝電器産業」の経営に活かしてきました。
島耕作は企業内部の派閥争いや他社との競争など、会社員が経験するであろう、数々のリアルな苦難に直面しています。これを描けたのは、サラリーマン時代の経験に加え、弘兼先生が会社員時代の同期の方に聞いたり、現場で働く人たちへの取材をセッティングしてもらったりと、独自の人脈があったからこそ。
課長から始まった「島耕作」シリーズは、現実の時間の経過とともに部長や係長、さらに会長、相談役、社外取締役と、あらゆる役職を主人公に経験させています。作中に各時代をしっかりと反映し、近年では新型コロナウイルス流行も描いて、島耕作自身も感染したのが話題となりました。いずれも綿密な取材に裏打ちされたエピソードが印象的です。時代をさかのぼった『学生島耕作』『ヤング島耕作』『係長島耕作』も、昭和のサラリーマンや学生のリアルなエピソードが盛り込まれ、人気を博しています。
(田中泉)