50周年『ベルサイユのばら』が新作劇場版に! TV版には、もはや見られない幻の最終回も
『ベルサイユのばら』の連載が1972年に「マーガレット」で開始されてから、2020年でちょうど50周年を迎えます。宝塚歌劇団による舞台化やTVアニメ化により社会現象ともなった『ベルばら』を今なお愛する人は絶えることがありません。2022年10月には完全新作となる劇場版アニメの制作も発表され、『ベルばら』は新たな時代へと歩み始めています。
連載開始から50年に合わせ、新たな劇場版アニメも発表

1972年に雑誌「マーガレット」で『ベルサイユのばら』の連載がスタートしてから、2022年でちょうど50周年を迎えます。宝塚歌劇団による演劇やTVアニメで社会的なブームを巻き起こし、フランスをはじめとする諸外国でも高い人気を誇る『ベルばら』の新作アニメが劇場版として制作されると発表され、歓喜に沸いたファンも多いことでしょう。今なおファンの心をつかんで離さない普及の名作である『ベルサイユのばら』が歩んできた道のりを、簡単ではありますが説明させていただこうかと思います。
『ベルサイユのばら』の最大の魅力。それはオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ、アンドレ・グランディエ、マリー・アントワネットをはじめとした魅力的なキャラクターたちが、フランス革命という歴史的悲劇に押し流されて行きながらも、懸命に自らの人生を生き抜こうとする姿を描いた重厚なストーリーにあると筆者は考えています。
愛に生きようとして果たせなかったハンス・アクセル・フォン・フェルゼン、歴史の生き証人となったロザリー・ラ・モリエール、最初は反抗しながらも後にオスカルの忠実な部下となったアラン・ド・ソワソン、ロザリーと数奇な運命で結ばれていた悪役であるポリニャック婦人に至るまで、皆がみずみずしい感情を持って生きる群像劇を20代半ばで紡ぎあげた池田先生の力には、驚嘆するほかありません。
1974年8月29日には宝塚歌劇団の月組による舞台が初めて上演され、8月29日は現在「ベルばらの日」として定められています。この時期、筆者はまだ物心つく前だったので具体的な状況は分かりませんが、当時を知るお姉さま方から聞いた話によると「それはそれはものすごいブームだった」そうです。その後、『ベルばら』は再演が繰り返され、2008年には池田先生が新たに書き起こしたストーリーからなる『外伝 ベルサイユのばら』も上演され、2014年には通算観客動員数500万人を記録し宝塚歌劇団にとっても極めて重要な演目となりました。
そして『ベルばら』の知名度をさらに押し広げた原動力となったのが、1979年のTVアニメ化です。本放送終了後も再放送されるたびに姉とふたり、TVの前にかじりついていた記憶があります。素肌にバラのとげを纏わせたオスカルという衝撃的な絵からスタートするオープニングテーマ「薔薇は美しく散る」も、数多くのキャラクターが登場する群像劇でありながらオスカルただひとりを描き続けており、『ベルばら』はオスカルが辿る物語であることを強調する作りとなっているのが、最期を暗示する歌詞と共に深く印象に残っています。
眉目秀麗極まりないオスカルたちのキャラクターデザインを行なったのは、後に『聖闘士星矢』も手掛けた荒木伸吾氏・姫野美智氏の名コンビ。当初総監督に就任した長浜忠夫氏は13話で降板を余儀なくされましたが、19話からチーフディレクターに就任した希代の演出家・出崎統氏が後を引き継ぎ、独特な技法を持って作品をさらなる高みへと導いています。