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まさかの入り方!昭和ウルトラ怪獣着ぐるみの工夫にびっくり ツインテールの謎は…

多種多様なウルトラ怪獣は、時にかなりトリッキーなデザインのものも登場します。今回は、着ぐるみ特撮全盛期に登場した「中の人」の動きが気になってしょうがない怪獣たちを振り返ります。

どうやって入ってる?思わず考えてしまう特殊造形怪獣

「S.H.フィギュアーツ 帰ってきたウルトラマン ツインテール 約145mm PVC&ABS製 塗装済み可動フィギュア」(バンダイスピリッツ)
「S.H.フィギュアーツ 帰ってきたウルトラマン ツインテール 約145mm PVC&ABS製 塗装済み可動フィギュア」(バンダイスピリッツ)

 昭和ウルトラシリーズの歴史は、着ぐるみ特撮の歴史でもあります。今も大人気のウルトラ怪獣たちですが、彼らに命を吹き込んでいたのは紛れもなく、スーツアクターのみなさん、そしてデザイン画から実際に着ぐるみを造形された方々の力に他なりません。

 さて、昭和ウルトラシリーズの怪獣たちのなかには一見するとどうやって人が入っているのか初心者にはわからないものもあります。まさに、「デザインの勝利」といったところ。この記事ではそんな「中の人」がどのように入っているのか、どう動かしているのかが絶妙にわからない、昭和ウルトラ怪獣たちをご紹介します。

 例えば『ウルトラマン』に登場した怪獣・ペスターは、何度見ても素晴らしい完成度です。通常、着ぐるみは一体につきひとりのスーツアクターが入るものですが、こちらのペスターはなんとふたり体制。ヒトデのような両翼にひとりずつスーツアクターが入っているのですが、それゆえに均整を欠いたなんとも不気味なアクションを実現しています。 

 なおふたり体制怪獣では、同じく『ウルトラマン』のドドンゴという、麒麟に似た怪獣が前後にそれぞれスーツアクターが入る仕様でした。見るからに「後ろの人」の、腰の負担がとんでもない造りになっています。造形を担当された高山良策さんの再現力、そしてスーツアクターの荒垣輝雄さん、清野幸弘さんの演技に改めて拍手を送りたいです。

 また、昭和ウルトラ怪獣の大傑作、『帰ってきたウルトラマン』に登場するツインテールも「中の人」がどうなっているのか非常に気になる怪獣です。池谷仙克さんがデザインした、まさに「異形」の有名怪獣で、造形は引き続き高山良策さんが担当しています。ご存知の通り、イモ虫が逆立ちしたような姿をしており、上体から二本の長い尻尾が生え、顔は地面側にあるのです。

 もちろん顔が下についているからといって、「中の人」が実際に逆立ちする必要はありません。通常通り、立った状態で入っています。とはいえ、ツインテールの動きは実にアクロバティック。ウルトラマンを尻尾で鞭打し、上体を前に後ろにぐにゃぐにゃとしなりながら戦います。うっかりすると「中の人」の背骨が心配になってしまうのですが、なんてことはありません。シーンごとに入る向きを前後交換して撮っていたのです。手間暇はかかりますが、まさに、「着ぐるみ」特撮ならではの演出が冴える怪獣でした。

 さて『帰ってきたウルトラマン』には、ステゴンという骨の怪獣がいます。実はこれも、よくみれば非常に革新的なデザインなのです。ウルトラ怪獣にはネロンガやガボラなど多くの四足歩行怪獣が登場してきましたが、そのほとんどが着ぐるみの構造上、後ろ足の膝を折って移動する仕様になっていました。ところが、ステゴンは足が4本ともすらりと地面に向かって伸びているのです。実はこれ、前足部分に高下駄を装着させることで膝立ちすることない四足歩行を実現したものだったものでした。骨だけの怪獣だからこそ、余計にプロポーションが際立ちます。

 なおウルトラ怪獣のデザインの多くを担当された成田亨さんは、20人くらい人が入るムカデのような怪獣を作ろうとしたこともあるのですが、さすがに却下されたそうです。ぜひ、実現して欲しかったところではあります。

 特撮がCG時代に入って久しいですが、なかに人が入っているような「着ぐるみ」イズムは、現在でも若手クリエイターたちにしっかりと受け継がれています。今後のシリーズでは、どんなデザインの怪獣が登場するのでしょうか。

(片野)

【画像】フィギュアで見ても斬新!演じるのが大変そうなウルトラ怪獣たち(7枚)

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