『銀河鉄道999』アニメ化に至った複雑な過程 子供の頃、胸を焦がした銀河の旅
1978年9月14日はTVアニメ『銀河鉄道999』の第1話が放送された日です。機械の体を求める少年・星野鉄郎と謎の美女・メーテルが999号に乗り銀河を旅する物語は、多くの人々との出会いと別れが織り成す人間模様のなかでたくましく成長していく鉄郎の姿を通じ、当時の子供たちにたくさんの大事なことを教えてくれた不朽の名作です。
銀河への旅路
「鉄郎のように、銀河をめぐる旅がしたい」
『銀河鉄道999』を見ながら、そう思っていた方は多いのではないでしょうか。
戦士の銃を引っ提げメーテルと共にさまざまな事件や出来事を切り抜けながら、キャプテン・ハーロックのようなカッコイイ男たちと宇宙を駆け巡りたい。そんな夢を密かに胸に抱いていた頃から40年以上が経ち、今では一般人でもかろうじて宇宙へと上がれるようにはなりました。とはいえ、宇宙を旅行できるようになるまではまだ大分かかりそうです。筆者が生きている間には実現できないでしょうが、誰かが目指し続けている限り、いつか人類は到達できると信じています。
かつて、多くの少年少女たちに夢を見せてくれた『銀河鉄道999』は、1977年から1981年にかけて少年画報社の「少年キング」に松本零士先生が連載した作品です。元々は松本先生がアニメ用に立ち上げた企画でしたが実現せず、「少年キング」からの連載要請に応じてマンガとして転用したところ大人気となり、ちょうど同時期に松本先生も関わった『宇宙戦艦ヤマト』がブームを巻き起こしたことから『999』もアニメ化に至ったという複雑な過程をたどっています。
TVアニメは1978年9月14日にスタートし、1982年に終了するまで全113話が放送されました。ささきいさお氏が歌い上げるオープニングテーマ「銀河鉄道999」とエンディングテーマ「青い地球」の美しい旋律と歌声を今でも心に宿している人はきっと多いことでしょう。声優陣は主人公・星野鉄郎を野沢雅子氏、メーテルを池田昌子氏、車掌さんを肝付兼太氏が担当し、息の合った演技を披露してくれました。肝付氏が2015年に他界され、この3人が一堂に会することができなくなったのが残念でなりません。
1981年に連載が終了した後も人気は衰えることなく、1996年には「ビッグゴールド」誌で続編となる「エターナル編」の連載が開始。1998年には新作劇場アニメ『銀河鉄道999 エターナルファンタジー』も製作されています。残念ながら「エターナル編」は現状では未完となっていますが、松本先生は「エターナル編」の完結について「描くと人生が終わりになる気がする」とコメントしており、なかなか難しいところがあるようです。