【漫画】成長後「親ガチャ」ができる世界 毒親に苦しむふたりは回すのか? すれ違いが「切ない」
悲惨な家庭環境や恵まれない遺伝子を持った子供たちへの救済制度「親ガチャ法」。「親ガチャ」し直す子供のほとんどは、「ガチャを回してよかった!」と笑顔ですが……。作者のざじーさんにお話を聞きました。
選択肢はだたひとつ?
もしも「親ガチャ」をやり直せるとしたら、あなたは回しに行きたいですか? 近年、ネットスラングとして使われるようになった、生まれた家庭環境を刺す言葉、「親ガチャ」。描かれるのは、子供に与えられた「親ガチャ法」と呼ばれる救済制度のある時代の物語です。父親のDVでボロボロな少年は「親ガチャ」を回しに行こうか迷っていましたが……。
ざじーさん(@X1G9xd)による創作マンガ『親ガチャ』が「親ガチャができる世界」というコメントとともにTwitter上で公開されました。最後まで気の抜けない、緊張感ある展開に衝撃を受ける作品です。Twitter上の投稿には6.9万以上のいいねがついており、読者からは「読んでいて、すごくヒヤッとした」「どう転んでも幸せになれなそうなのが切ない」「心がキュッとなった」という声があがっています。
第86回ちばてつや賞で佳作を受賞した、『親ガチャ』の作者・ざじーさんにお話を聞きました。
ーーざじーさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。
きっかけは頭のなかで空想していた物語を具現化させたいなと思い、いろいろ考えた結果1番やりやすい方法がマンガだったからです。特に漫画家になりたいという強い意志はないですが、まだ描きたい物語を排出したいと思っています。読み切りは全部そのための練習です。
ーー『親ガチャができる世界の話』のお話が生まれたきっかけは何ですか?
もともと「姥捨山」をテーマにしていた読み切りがボツになっていて、それのリメイクをしようと思い、いろいろ描いていたところ「姥捨山」より「親ガチャ」というキャッチーな言葉に変えて内容も変えようと決めました。描きたいことの根幹は変えずに出せたと思うので良かったと思っています。
ーー高クオリティなイラストとストーリーに「18歳とは思えない!」と衝撃の声があがっています。この作品を描くうえで気を付けた点や工夫した点はありますか?
そう言っていただけるのは大変恐縮です。自分では18歳らしいつたなさが目についてもう消したいくらいですが。とにかく自分のつたない技術のなかでも精一杯読みやすいと思っていただけるように、コマ割りなどに気をつけました。個人的に動きのある描写を描くのが好きなので、そこだけ力を入れました。編集部の方からは「雑」だと言われましたし、その自覚もあるので次回作はもっと丁寧に描きたいです。
ーーたくさんの感想が寄せられていますが、特にうれしかった感想の声、印象に残った読者の声について、教えて下さい。
どんな感想でも基本的にはうれしいです。もちろんマンガの粗を指摘していただけるのも参考になるのでありがたいです。印象に残った感想でいうと、「切ない」とのリプライ、引用リツイートが多かったことです。「切なさ」を意識して描いたつもりはなかったため、そういう解釈、受け取り方をされるのかと、とても勉強になりました。同時に伝えたかったことから少しずれた反響もいただいたため、自分の実力不足を痛感しました。それでも編集者の方以外から反応をもらえたのは初めての経験だったので、どれも本当にうれしいです。
ーー今後、発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?
発表する媒体はこれからも変わらず賞に出すなどしていこうと思います。数年後に連載を持てたらと漠然と思いますが、そんなに甘い世界でもないと思うので頑張っていきたいです。
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(マグミクス編集部)