安全圏じゃなかった!衝撃的すぎた「人気キャラの死」 人が死なないマンガだったのに…
昭和の女の子たちが号泣した「理想の王子様」の死

●愛ゆえの迷走・まつざか先生の奇跡の恋人、行田徳郎『クレヨンしんちゃん』
しんちゃんが通う幼稚園の先生・まつざか梅は、スタイル抜群の美人なのに、見栄っ張りで浪費家など残念な性格が災いして、ずっと恋人ができませんでした。合コンに行こうとしてしんちゃんに邪魔されたり、しんちゃんのせいで狙っていた男性の前で本性がバレたりというのが「お約束」。
そんなまつざか先生に、ある時優しくてイケメンだけど「骨」が大好きという、ちょっと変わった恋人ができました。接骨医の行田徳郎、26歳です。愛を育むふたりでしたが、徳郎は恐竜の化石発掘で行った先の国で爆弾テロに合い、命を落としてしまいます……。自暴自棄になったまつざか先生はお酒におぼれ、それで自分も徳郎の後を追いたいとまで思いつめますが、それを救ったのは、徳郎が死の間際に書いた手紙でした。
このまつざか先生の恋人・徳郎がテロで亡くなるというエピソードは、『クレヨンしんちゃん』というコメディ作品において異色中の異色でした。マンガ連載時には、「徳郎の海外赴任で、失恋したまつざか先生の婚活激化での笑いか!?」と思わせておいての、まさかの恋人死亡……。先生本人も死を望むようになってお酒におぼれたり、ボクシングを始めたり……。この先、コメディとしてどうオチをつけるのか、「もしかして夢オチ!?」と、読者は気をもんだものでした。アニメでは徳郎の死は描かれず、チリに赴任した後登場しなくなっています。
●初恋の人との永遠の別れ・理想の王子様だったアンソニー『キャンディキャンディ』
『キャンディキャンディ』は、20世紀初頭のアメリカとイギリスを舞台に、明るく前向きな孤児の少女・キャンディが愛する人との別れや戦争など様々な困難を乗り越えて成長していく物語です。
アンソニーはキャンディが幼い頃に出会い、ずっと再会を夢見ていた「丘の上の王子様」に似た、金髪で青い瞳を持つ少年でした。孤児院から引き取られた先で意地悪をされて泣いていたキャンディに声をかけてきたのがアンソニーで、ふたりはお互いに惹かれ合うようになります。読者も美少年で優しく、趣味はバラの品種改良、それでいてキャンディのためには一族のまとめ役であるエルロイ大おばさまに立ち向かう……などなど「理想の王子様」なアンソニーにあこがれました。だからこそ、その死は衝撃だったのです。キャンディが一族の養女に迎えられたお披露目を兼ねたキツネ狩りでの落馬事故によって、アンソニーは彼女の目の前で命を落とします……。
『キャンディキャンディ』が連載されていたのは、『なかよし』(講談社)という小中学生女子向けのマンガ雑誌で、読者にとってアンソニーは憧れの人気キャラクターでした。キャンディにとっての「初恋の人」は、読者にとっても「初恋の人」で、その突然の死は永遠に心に刻まれています。
●最期まで規格外・そのうち生き返ると思ってたら……大豪院邪鬼『魁!!男塾』
奇想天外なストーリー展開と突っ込みどころ満載のバトル、熱すぎる友情などで人気を博した『魁!!男塾』。激しいバトルで命を落としたはずのキャラクターが「実は死んでいませんでした!」と、何度も再登場するのは有名です。しかし、そんな独特な展開のなかで、10年以上もの間、男塾を支配した「男塾の帝王」大豪院邪鬼(だいごういんじゃき)の死は衝撃的でした。
邪鬼は男塾塾長・江田島平八の宿敵・藤堂兵衛が主宰する「天挑五輪大武會(てんちょうごりんだいぶかい)」で、心臓を貫かれながらも闘い続け、なんとか勝利すると、その後、自らの技・真空殲風衝(しんくうせんぷうしょう)によって、自身を白骨化して自決したのです。
読者の多くは、その後の「七牙冥界闘(バトルオブセブンタスクス)編」、「風雲羅漢塾(ふううんらかんじゅく)編」で、いつ人気キャラの邪鬼が甦るのかと心待ちにしていましたが、その瞬間が来ないまま最終回を迎えたことは大きな驚きでした。時間差で死の衝撃がやってくるという、『男塾』ならではのパターンです。ちなみに、スピンオフの『天より高く』では普通に生きていて、防衛庁長官へと出世していました。
今回紹介したのはごく一部の例で、例えば『あしたのジョー』(原作:高森朝雄(梶原一騎)・作画:ちばてつや)の力石徹などは、亡くなってから実際に葬儀が行われたほどファンに愛され惜しまれました。あなたの心に残る「死が衝撃的すぎたキャラクター」は誰ですか?
(山田晃子)








