「ポケモンは任天堂がつくっている」←誤解してない? ゲームの「パブリッシャー」と「デベロッパー」の違い
どんなゲームも、全部「ファミコンソフト」と呼ぶ人が、かつて多くいました。そうした思い込みや勘違いは、時代に合わせて姿を変えながら、今もさまざまな誤解を生んでいます。「ポケモンは任天堂が作っている」という誤解は、「パブリッシャー」と「デベロッパー」の関係を理解することで解消します。
意外と知られてない? 「ゲーム開発」と「販売」の分業制

コンピュータゲーム市場は、日本はもちろん海外でも大きな成長を見せており、普段ゲームを遊ばない人でも有名なタイトルを耳にする機会が増えました。
ゲームというジャンルが市民権を得たのは喜ばしいことですが、はたから見ると内情が分かりにくい部分もあり、そこで誤解が生じます。なかでも顕著なのが、「パブリッシャー」と「デベロッパー」の認識でしょう。
分かりやすい例では、「PlayStationのゲームは、全部ソニーが開発している」と思っている方もいます。ゲームファンからすれば驚きですが、興味のないジャンルならそういった認識になってもおかしくありません。
またゲームファンであっても、コアなユーザーもいればカジュアルに楽しむ層もいます。その知識度に応じて、「パブリッシャー」と「デベロッパー」の違いを把握している・していないかが変わってきます。
そんな「パブリッシャー」と「デベロッパー」について解説し、その関係性や利点、成功例などを通してご紹介します。
●「パブリッシャー」と「デベロッパー」は、それぞれ発売と開発を担当
ゲームは、まず企画を立ち上げ、開発に臨んで完成させ、宣伝を行い、流通することで販売されます。ゲームに詳しくない方は、それを全てひとつの会社が手がけていると誤解しがちですが、その流れのなかに、パブリッシャーとデベロッパーがそれぞれ関わります。
パブリッシャーをひと言で説明すれば、発売元のこと。出版業界なら、出版社や版元、発行人などがその立場に当てはまります。前述の流れで言えば、「企画立ち上げ」「宣伝」「流通」などを担当。どんなゲームを作り、それをどのように売るのか。そうした部分を引き受けます。
対するデベロッパーは、「ゲーム開発」を担当します。企画段階から関わったり、企画自体を持ち込む場合もありますが、担当比重としては制作・開発がメインです。
ただしデベロッパーが開発するといっても、パブリッシャー側がプロデューサーを立て、その立場からデベロッパーの開発に関わることがほとんどです。また、宣伝関連でデベロッパーが協力する場合もあり、100%完全に仕事が分かれるわけではありませんが、基本的には「ゲームの開発と販売を分業している」と考えて問題ありません。
ちなみに、パブリッシャーがデベロッパーを兼ねる場合もあります。任天堂やソニー、セガにスクウェア・エニックスなど、多くの方が耳にしたことのあるメーカーの大半は、どちらも兼ねているのが現状です。そのため、冒頭で取り上げたような誤解を招くことがあります。