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アニメ『姫ちゃんのリボン』30周年 『セーラームーン』ヒットのライバル誌と「真逆」の戦略

「りぼん」の看板作品だった『姫ちゃんのリボン』がアニメ化して30年。SMAPや元宝塚女優をキャスティングした大胆な戦略で、当時の女性層の人気をわしづかみにしました。その軌跡を振り返ってみましょう。

今なお根強い人気を誇る、名作少女マンガが与えた影響とは?

『姫ちゃんのリボン』DVD BOX 2(スーパー・ビジョン)
『姫ちゃんのリボン』DVD BOX 2(スーパー・ビジョン)

 30年前の1992年10月2日、TVアニメ『姫ちゃんのリボン』が放送開始されました。原作は3大小中学生向け少女マンガ雑誌のひとつである「りぼん」に連載されていた、水沢めぐみ先生が連載していた同名のマンガです。

 自分にそっくりな魔法の国の王女・エリカから、誰にでも変身できる「魔法のリボン」を貸してもらうことになった中学1年生の野々原姫子。そのリボンをつけることで、ぬいぐるみのポコ太が喋って動けるようになります。そして、姫子とポコ太は魔法のことを秘密にしながら、さまざまな出来事を経験していく……という、いわゆる魔法少女のカテゴリーに入るファンタジー色の強い物語でした。

 当時、掲載誌「りぼん」での人気はアニメ化される前から高く、看板作品のひとつだったと言われています。この『姫ちゃんのリボン』が連載されていた頃から「りぼん」の黄金期が始まり、それまでよりも低年齢層にアピールするタイプのマンガが連載されるようになりました。

「りぼん」が少女マンガ誌では史上最高部数の255万部を記録したのは1994年2月号。『姫ちゃんのリボン』の連載終了が、その前号の1994年1月号でした。ほぼピーク時まで連載されていたと考えると、『姫ちゃんのリボン』がどれだけ「りぼん」に貢献していたか分かるというものです。

 この当時、ライバル誌「なかよし」は大ヒットした『美少女戦士セーラームーン』が大ブームの真っただなかでした。それを抑えて少女マンガ誌1位の座をつかんだのですから、当時の「りぼん」の勢いは、少女マンガの王道だった『姫ちゃんのリボン』と、国民的人気アニメの道を歩み始めた『ちびまる子ちゃん』という両輪の力が大きかったと思います。

 ちなみに前述したように「りぼん」と「なかよし」共に、この時代から低年齢層へのアピールで部数を上げたと言われていますが、あまりマンガに詳しくない保護者の方々が雑誌名を間違えることがまれにありました。親に買ってきてもらうとよくある「コレジャナイ」あるあるです。

 そこで『姫ちゃんのリボン』が掲載されている方が「りぼん」……そう覚える人もいたそうです。筆者も当時、書店員をしていた知人から聞いて、なるほどと思いました。

『姫ちゃんのリボン』の人気は根強く、「りぼん60周年スペシャル読み切り」として2015年に読み切りマンガが掲載された時も好評で、その後にも他誌などを含めて何度か読み切り短編が発表されています。

 これらの読み切りは2017年に『姫ちゃんのリボン 短編集』として、本編最終巻から23年ぶりに発売されました。しかも、この『短編集』は旧RMC(りぼんマスコットコミックス)のデザイン装丁で出され、旧コミックスとデザインが統一されていることから、実質的には11巻と思える仕様になっています。

【画像】「懐かしい!」アニメ化された少女マンガ(7枚)

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