『ウルトラセブン』放送開始から55年 視聴者をときめかせたアンヌ隊員の魅力とは?
『ウルトラセブン』の主人公モロボシ・ダンは、宇宙人に何度も騙されますが、それでも信じることをやめようとはしませんでした。そんなダンのことをいつも優しく見守り続けたのが、アンヌ隊員です。最終回のふたりの別れのシーンは涙なしでは観られません。『セブン』放送55周年の機会に、アンヌ隊員の魅力を改めて振り返ります。
「史上最大の侵略」など代表作5話を劇場上映

1967年10月1日は、特撮ドラマ『ウルトラセブン』(TBS系)のTV放映が始まった記念すべき日です。第1話「姿なき挑戦者」は視聴率33.7%を記録するなど、大変な人気を誇ったSF作品でした。円谷プロでは『ウルトラセブン』55周年記念企画を準備しています。
2022年10月1日(土)からは、代表的なエピソード5本をセレクトした『ウルトラセブン』4K特別上映が、10月13日(木)までの13日間限定で、TOHOシネマズ池袋など全国16の劇場で実施されることが決まっています。
全49話あるエピソードから、今回選ばれたのは第7話「宇宙囚人303」、第26話「超兵器R1号」、第37話「盗まれたウルトラ・アイ」、最終話「史上最大の侵略」前後編です。モロボシ・ダン(森次晃嗣)はもちろん、ウルトラ警備隊の紅一点・友里アンヌ(ひし美ゆり子)も印象に残るエピソード集となっています。
第3話「湖のひみつ」で見せたアンヌの笑顔
数ある「ウルトラシリーズ」のなかでも『ウルトラセブン』の人気を特別なものにしているのは、アンヌ隊員の魅力が大きいと言えるでしょう。円谷プロの前作『ウルトラマン』のヒロインだったフジ・アキコ隊員役の桜井浩子さんが中性的な雰囲気だったのに対し、アンヌ隊員に選ばれたひし美ゆり子(当時の表記は菱見百合子)さんは、親しみ易さに加え、セクシーさも感じさせました。
アンヌ隊員が着るウルトラ警備隊の制服はいつもピッチピチで、メディカルセンター勤務時の白衣姿も魅力的でした。さらに第8話「狙われた街」では喪服、第15話「ウルトラ警備隊 西へ」ではおしゃれな英国淑女風の変装、第42話「ノンマルトの使者」では水着……と、重要なエピソードほどアンヌ隊員の衣装も記憶に残るものになっています。
ひときわ、アンヌ隊員の表情に魅了されるのは、第3話「湖のひみつ」です。ダンは腕時計型通信機でウルトラ警備隊と連絡をとるのですが、画面に映し出されるのはアンヌ隊員です。小さな画面のなかに、髪をおろしている無防備な瞬間のアンヌ隊員が映し出されます。連絡してきたのがダンだと分かり、アンヌはうれしそうな顔を見せるのでした。
このときの「隊長がプリプリよ!」という、カメラ目線で台詞を口にする際の表情がとてもチャーミングです。エレキングが登場する第3話「湖のひみつ」は、第1話に先駆けて最初に撮影されたエピソードとしても有名です。演技経験の少なかったひし美さんは、素のままでアンヌ役を演じたそうです。
特撮ドラマは撮影が過酷なことで知られていますが、アンヌを演じるひし美さんの明るい笑顔にスタッフもキャストも癒され、しんどいスケジュールも乗り切れたのではないでしょうか。特撮と美女は、切っても切れない関係だと言えるでしょう。