アニメ『あしたのジョー』最終回はカーロスとの戦い 「実写をこえる死闘」を振り返る
1971年9月29日は、TVアニメ『あしたのジョー』最終回「燃えろ 遠く輝ける明日よ!!」が放送された日です。当時「週刊少年マガジン」で連載され歴史的熱狂をもたらした『あしたのジョー』のTVアニメとあって大人気となりましたが、原作の連載に追いついてしまったため、カーロス・リベラ戦で放送が終了しています。
「戦後最大のヒットマンガ」のアニメ化
1971年9月29日は、TVアニメ『あしたのジョー』最終回(第79話)「燃えろ 遠く輝ける明日よ!!」が放送された日です。当時「週刊少年マガジン」で連載され歴史的な熱狂をもたらした作品のアニメ化とあって大人気となりました。しかし、放送内容が原作の連載に追いついてしまったため、原作最後の対戦者であるホセ・メンドーサは名前が登場しただけで、カーロス・リベラ戦の終了とともに最終回を迎えています。
『あしたのジョー』以上に大きな社会的ムーブメントを起こしたマンガはあるのでしょうか?同時期の『巨人の星』や平成期の『スラムダンク』など、スポーツ方面に大きな影響を与えた作品は数え上げればいくつか出てくるとは思います。
しかし、『あしたのジョー』はボクシングの世界に多大な影響を与えただけではなく、社会にも、歴史にも、文化にも大きな足跡を残しています。『あしたのジョー』を「戦後最大のヒットマンガ」と呼ぶ声もありますが、それにふさわしい業績を残した作品であることは確かです。数多くのヒット作を世に送り出した原作者の高森朝雄(梶原一騎)氏と作画担当のちばてつや氏が手掛けた作品のなか中でも、ひときわ強い輝きを放つ時代の星であることは間違いないでしょう。
1967年に連載が開始された『あしたのジョー』ですが、アニメ化されたのは1970年となります。故・手塚治虫氏が設立した虫プロダクションが制作にあたりましたが、手塚氏自身は『あしたのジョー』をライバル視しており、自身は制作に関知しなかったとされています。
本作で監督格となるチーフディレクターを担当したのは、後に『ガンバの冒険』や『宝島』『ベルサイユのばら』など膨大な数の名作を手掛けることとなる出崎統(でざきおさむ)氏
。出崎氏にとっては『あしたのジョー』が初の監督作品となりましたが、実は出崎氏自身が企画を「どうしてもこれをやりたい」と虫プロに持ち込み実現にこぎつけており、氏の「実写を超えた迫力のあるものを作る」という思いは、さまざまな苦労の果てにアニメの歴史に大きな1ページを刻み込むこととなったのです。