歴代ガンダムで最も「アンチ」多かった? 新世紀のスタンダード目指した『SEED』誕生から20年
21世紀初のガンダム作品として生まれた『ガンダムSEED』。そこには新世紀のファーストとなるべく、これまでと違った試みがいくつか取り入れられました。その軌跡を振り返ってみましょう。
新たな変化を生み出した新世紀のガンダム
本日10月5日は2002年にTVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』が放送された日。放送から20周年となります。いまだに根強い人気を誇り、新作劇場版の企画も予定されているという『SEED』について振り返ってみましょう。
本作はガンダムシリーズでは21世紀初となるTVアニメで、新世紀のスタンダードとなる作品として企画されました。そして内容は『機動戦士ガンダム』(1979年)、俗にいう『ファースト』をなぞって原点回帰した作品となります。
当初『ガンダムS』という仮称で企画されていた本作は、複数のガンダムが登場することで「ガンダムズ」という意味がありました。この『S』という頭文字が残って『ガンダムSAGA』というタイトルも考えられましたが、最終的に『ガンダムSEED』という名称になります。『機動戦士』という名称はこれまで宇宙世紀を扱った作品にのみ使用されてきましたが、前述したように新しいガンダムのスタートであったことから採用されました。
このように新世紀のスタンダードとして動き始めた本作には、これまでにない変化が起こっています。
そのひとつは放送局の変更。これまでガンダムシリーズと言えば、名古屋テレビ、テレビ朝日系列でした。それが前シリーズにあたる『∀ガンダム』(1999年)がはじめて別のTV局であるフジテレビとなります。そして、本作からガンダムは毎日放送・TBS系列となりました。
もっともガンプラを扱った『ビルドシリーズ』、SDガンダムシリーズは別の放送局にすみ分けているほか、『機動戦士ガンダムUC RE:0096』(2016年)、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』(2019年)といったOVAや劇場版の再編集作品も他局での放送になっています。
もうひとつは出版社。創刊号からガンダムを主軸に置き、情報の発信源となっていたのが低年齢層向け雑誌「コミックボンボン」(講談社)でした。ガンプラ、SDガンダム、平成シリーズなど、長期間にわたってガンダムの情報雑誌として共に歩んでいます。
しかし、前作『∀』では商業的に不振だったことからコミカライズを姉妹誌の「マガジンZ」に移しました。これは『機動戦士Zガンダム』(1985年)からコミカライズを続けてきた「ボンボン」でははじめてのことになります。その後、放送中盤から物語を大幅に省略して完結まで掲載しますが、続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(2004年)を最後にコミカライズの掲載を終了しました。
これとは反対に新世紀でガンダムシリーズのコミカライズの中心となったのが「ガンダムエース」(角川書店)です。『SEED』放映と同時に外伝となる『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』を掲載しました。
外伝と言っても『ASTRAY』シリーズは、『SEED』TV本編と密接にかかわりを持っています。死んだと思われていたキラ・ヤマトがどうやって生存してプラントに移ったかなど、TV本編では明かされていなかった謎が語られていました。
さらに、この『ASTRAY』を執筆していたのが『ボンボン』で長年に渡ってガンダム作品のコミカライズを担当していた、ときた洸一先生です。そういった事情が重なり、21世紀以降のガンダムシリーズの中心雑誌は『ガンダムエース』に移っていきました。
この他にも、セル画からデジタル制作に移行したガンダムシリーズは本作が初となります。