初代から10年後に放送開始した『あしたのジョー2』 再スタートには「紆余曲折」も
メイン声優陣も続投し、満を持して放送開始へ

結局、出崎氏はマッドハウスを飛び出して「スタジオあんなぷる」を設立し、『2』の制作に参加することとなったのです。その後は長く丸山氏と出崎氏がともに仕事をすることはありませんでしたが、2008年の『ウルトラヴァイオレット:コード044』で、出崎氏が監督・脚本・絵コンテを務める形で28年ぶりにタッグを組み、翌2009年も『源氏物語千年紀 Genji』で同様のポジションを務めています。出崎氏が2011年に亡くなられたことが大変に残念です。
さて、話を『あしたのジョー2』に戻します。
初代アニメから約10年後の制作にも関わらず、声優陣は矢吹丈役のあおい輝彦氏、丹下段平役の藤岡重慶氏らが続投となっており、あおい氏と藤岡氏がどれほどのはまり役だったのかがわかります。もし万一、このふたりが交代となっていたら、新聞の読者投稿欄に大量の抗議の声が寄せられていたことでしょう。
本作のヒロインである白木葉子役についてはオーディションが行われた結果、田中エミさんと森脇恵さんが同点合格し、陽子役は田中さんが、紀子役は森さんが担当することとなりました。
ストーリー面については先述した通り、力石が死に、放浪の旅に出ていたジョーが再び東京に姿を現すところから始まります。街をさまよっていたジョーは、かつて死闘を繰り広げたウルフ金串がチンピラの用心棒に身を落としたことを知ってしまうのです。
もめごとの末にウルフはゴロマキ権藤を名乗る喧嘩屋に叩きのめされたところにジョーが割って入り、権藤をボディーブローで殴り倒します。しかしそこに警察がやってきたためジョーと権藤は一緒に逃げ出し、別れる間際に権藤は「あんたの試合、できたらまた観てぇ」と言い残していったのです。
そしてジョーは、泪橋の丹下拳闘クラブへと久々に顔を出し、マンモス西と丹下段平に驚きと喜びをもって迎えられたのです。
(早川清一朗)
※出崎統氏の「崎」の字は、正しくは「立さき」になります。



