『Zガンダム』オールドタイプ最強? 野獣「ヤザン」が愛されるワケ 部下想いの一面も…
激しい戦闘で何人ものメインキャラが消えていった『機動戦士Zガンダム』で、敵側でありながら生きのびることができたヤザン。その魅力からファンの多いキャラです。近年ではマンガでの活躍に注目が集まっています。
「野獣」という表現がよく似合う男ヤザンの魅力とは?
ガンダムシリーズの敵役といえば、物語の完結までに死亡することが普通ですが、なかには生き延びていることもあります。『機動戦士Zガンダム』に登場したヤザン・ゲーブルは、その数少ないひとりでした。
ヤザンは地球連邦軍の特殊部隊「ティターンズ」のMS(モビルスーツ)パイロットで階級は大尉。ニュータイプではありませんが、それに匹敵するほどの操縦技術を持ち、その荒々しい戦い方から「野獣」と呼ばれることもありました。
ガンダムシリーズで生き残ったキャラというのは大方が主人公サイドか、最終的に味方となったものばかり。あとはギャグ要因くらいでしょうか。ヤザンのように改心もしないで物語の最終回を迎えることは異例中の異例。ほかのガンダムシリーズでもいないことはありませんが、あのメインキャラが次々死んでいった『Z』の物語で生き延びたのは特筆できます。
浅黒い肌に金髪、特徴的な黄色の軍服に亀のタトゥー(シールとも言われていますが)という強面のいで立ちで誤解されがちですが、ヤザンは野獣と呼ばれるほどの戦闘狂であっても、けっして外道と言われるタイプの悪人ではありません。
本編でも敵に対しては容赦ない攻撃を仕掛けていますが、コロニー落としやG3といった毒ガスを使って民間人ごと虐殺する行為には、たびたび嫌悪感を示しています。これに関してさまざまな考察がありますが、戦うという行為に一定のルールを持っていることは間違いありません。
そして、部下や仲間に対しては気遣いを見せるシーンもありました。緊張していたアドル・ゼノの股間を触ることでリラックスさせるという行為は、一見するとハラスメント行為にも思えますが信頼が構築されている間柄だから許されるのだと思います。味方からすればいい兄貴分だったのでしょう。
また、野獣というあだ名から猪突猛進なイメージを抱いている人もいるかもしれませんが、ヤザンは戦略家としても優秀な面を見せています。マラサイのダミーバルーンを使ったおとり作戦や、クモの巣や海ヘビといった特殊兵装による戦闘パターンなど、随所でトリッキーな戦術を披露しました。
その結果、カミーユ・ビダンやクワトロ・バジーナといったエゥーゴの優秀なニュータイプパイロットを撃破寸前にまで追い込んでいるのですから、パイロットの資質は劇中でも群を抜いていると思われます。考えてみれば、あの傲慢なパプテマス・シロッコがパイロットとして必要としたのですから、こと戦闘においてはニュータイプとは異なる才能の持ち主だったのかもしれません。
よくガンダムファンから宇宙世紀での「オールドタイプ最強」という論議がされる際、必ずと言っていいほど名前が挙がることからも、その実力は誰もが認めるものでしょう。