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毒親がすぎる…「親ガチャ」大外れ主人公のマンガ5選 気付けない「洗脳」「過干渉」

エッセイマンガは、トンデモ「毒親」の宝庫…!?

美しく、「いつもちょっとかわいそう」な母が表紙に描かれた『新版母さんがどんなにぼくを嫌いでも』(著:歌川たいじ/KADOKAWA)
美しく、「いつもちょっとかわいそう」な母が表紙に描かれた『新版母さんがどんなにぼくを嫌いでも』(著:歌川たいじ/KADOKAWA)

●「洗脳」は「毒親あるある」 『新版母さんがどんなにぼくを嫌いでも』(著:歌川たいじ)

 2018年に映画化もされた『母さんがどんなにぼくを嫌いでも』は、著者・歌川たいじさんと母親との確執、愛憎、虐待の日々を描いた作品です。美しくてカリスマ性がある母に愛されたいと願った歌川さんですが、母からの愛が得られないばかりか、肉体的にも精神的にもひどい虐待が続きました。それでも父が経営する会社の従業員たちと古株の「ばあちゃん」が愛情を注いでくれますが、両親の離婚ではなればなれに……。

 その後、母からの虐待はさらに激しくなり、学校でのイジメも加わって、歌川さんはますます追い詰められます。母からの暴力や暴言、無視は当然のこと。なぜなら自分が醜くて汚い自分が悪いし、「自分には価値がない」から……。

 そんな「洗脳」は、「毒親あるある」と言われます。物心ついた頃から家を出る17歳まで、長い時間をかけて洗脳されてきた歌川さんを救ったのは、彼を認め愛情を注いでくれた「ばあちゃん」と友人たちでした。『母さんがどんなにぼくを嫌いでも』という悲しく、すがるようなタイトルに心がギュッと痛みます……。

●憎めない、嫌えないからつらい…『酔うと化け物になる父がつらい』(著:菊池真理子)

 父はアルコール依存症、母は新興宗教にのめりこみ後に自死という特殊な環境で育った著者・菊池真理子さん。「親ガチャ」で言えば、完全にアウトです……。そんな彼女の実録エッセイマンガ『酔うと化け物になる父がつらい』がWebマンガ配信サイト「チャンピオンクロス」(秋田書店)で発表されると、「つらすぎて泣ける」と話題になりました。

 彼女は母の死について、つらかったのを理解してあげられなかった自分のせいだと苦しみ、父と似た男性を好きになってDVや束縛で苦労します。そして、相変わらず泥酔して帰宅する父との激しいケンカに消耗し、がんで弱った父を罵倒して罪悪感にさいなまれ、さらに父の死後でも父本人のことや父に対する自分の態度を許せずに苦悩したりもしているのです。

 健全な家庭を知らずに育った彼女は、常に一般的な幸せとかけ離れてしまうような選択しかできません。どんなに「化け物」であっても、父を「憎めない、嫌えない」彼女が、どう苦しさや罪悪感、損失感を消化していったか、自分との戦いの記録でもあります。

 エッセイマンガの作者のなかには、ほかのエッセイマンガを読んで初めて自分が「毒親家庭」に育ったことに気付いたという人もいます。フィクション、ノン・フィクションあわせて、さまざまな物語を知ることは、自分らしく生きるための一歩となるかもしれません。

(山田晃子)

【画像】さまざまなパターンがある「毒親」マンガ(5枚)

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