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新海誠監督『君の名は。』が「金ロー」に登場 平安時代から続く「とりかえばや」の世界

2016年に劇場公開された新海誠監督の大ヒット作『君の名は。』が、3年ぶりに地上波でTV放映されます。高校生男女の心と体が入れ替わるトリッキーな物語は、なぜ記録的な大ヒットになったのでしょうか。『君の名は。』の元ネタになったと言われる、平安時代の古典文学『とりかえばや物語』と、そこから派生した数々の作品を紹介します。

興収250億円を突破したメガヒット作

劇場アニメーション『君の名は。』ポスタービジュアル (C)2016 「君の名は。」製作委員会
劇場アニメーション『君の名は。』ポスタービジュアル (C)2016 「君の名は。」製作委員会

 新海誠監督の名前を広く世間に知らしめた大ヒットアニメといえば、2016年に劇場公開された『君の名は。』です。国内興収だけで、250億円を超えるメガヒット作となりました。

 それまでの新海監督は、『秒速5センチメートル』(2007年)や『言の葉の庭』(2013年)など小規模公開の作品を手がける、知る人ぞ知るアニメーション作家でした。『君の名は。』に続いて『天気の子』(2019年)も国内興収142億円という結果を残し、世界が注目する存在となっています。2022年11月11日(金)公開の新作『すずめの戸締まり』にも期待が寄せられています。

 すでにテレビ朝日系で二度テレビ放映されている『君の名は。』ですが、2022年10月28日(金)の「金曜ロードショー」(日本テレビ系)に初登場します。時間枠を拡大してのノーカット放映となります。

 マニアからの支持が高かった新海誠ワールドが、『君の名は。』から幅広い層に受け入れられるようになった要因を探ります。

高校生の男女が入れ替わることに

 主人公はふたりの高校生男女です。ひとりは山奥にある田舎町で暮らす女子高生の宮水三葉(みやみず・みつは)、もうひとりは東京で生活する立花瀧(たちばな・たき)です。ふたりは奇妙な夢をたびたび見るようになっていました。夢の世界で、お互いの体が入れ替わっていたのです。三葉、瀧の様子がおかしなことから、それぞれの学校や家庭ではちょっとした騒ぎとなります。それは夢の世界ではなく、現実の出来事であることにふたりは気づきます。

 多感な年頃の男女の心と肉体が入れ替わるドタバタ劇が、コミカルかつアップテンポに描かれ、観客を不思議な世界へと引き寄せていきます。お互いにまったく面識がなく、名前すら知らなかった三葉と瀧は、相手への不満や注意事項をノートやケータイに書き残すようになります。そんなやりとりを交わすうちに、ふたりの出会いは運命的なものだったことが分かってきます。

 三葉の暮らす田舎町は自然がいっぱいで、父親とふたり暮らしだった瀧は家庭的生活を味わうことになります。しかし、小さなコミュニティゆえの閉塞感もあります。一方、瀧がいる都会はおしゃれで、快適な環境ですが、三葉が考えていた以上にお金が必要です。そのため、高校生ながらバイト漬けの毎日となります。

 思春期の少年少女の心理が繊細に描かれていることに加え、主人公たちが暮らす村や街の背景がとてもリアルなところも、新海誠ワールドの大きな特徴です。田舎の風景と都市の景観が、実に対照的に描かれています。

【画像】あなたはどの作品が好き? 新海誠監督、デビューからの歩み(7枚)

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