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ガルマ・ザビは本当に「坊や」だったのか?

『機動戦士ガンダム』に登場する、ジオン公国公王デギンの末っ子「ガルマ・ザビ」。親の七光りと言われることを嫌い奮闘しますが、その死後、シャアは彼を「坊や」と評しました。ガルマは果たしてそんなに「坊や」だったのか? それとも優秀な人物だったのか? 今回は家族や公国民に認めてもらおうと必死に戦ったガルマの能力や人柄を考察します。

「坊や」と断じられたガルマ・ザビは無能だったのか?

 ガルマ・ザビが描かれた『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』第4巻(KADOKAWA)
ガルマ・ザビが描かれた『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』第4巻(KADOKAWA)

『機動戦士ガンダム』に登場するザビ家末弟で、眉目秀麗なガルマ・ザビ大佐。親の七光りと言われるのを嫌い、必死に戦った彼をシャア・アズナブルは「坊や」と評しました。ガルマはそんなに「坊や」だったのか? それとも優秀だったのか? 今回は若くして戦場に散ったガルマの能力や人柄を考察します。

●ガルマの政治力とカリスマ性

 ガルマはジオン公国での人気は絶大で、将来を嘱望された人物でした。そんな彼は親の七光りと言われるのを嫌い、戦争の前線で活躍することを望むと、若くしてジオン公国軍地球方面軍司令(『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では北米方面軍司令)を務めました。政治力を伺わせる描写はアニメ版にはありませんが、占領しているニューヤークの前市長に近づき、その政治力を借り民意を束ねることを考えていたようです。また、その娘・イセリナ・エッシェンバッハと交際。ガルマはイセリナと真剣に結婚を考える一方で、情報源としても利用していました。このようにガルマは必死に任務を遂行しようとしていました。

 また、彼のカリスマ性をうかがわせる具体的なエピソードといえば「暁の蜂起」があります。サイド3のズムシティの士官養成学校で同期であり友人関係にあったガルマとシャア。ザビ家御曹司として一目置かれる存在であったガルマは成績も優秀で、首席で卒業と輝かしいものでした。その頃、ズムシティでは連邦に対する不満が膨れ上がりデモが起こっており、これの鎮圧に連邦軍が出動する可能性が出てきました。それに先んじ、ガルマをリーダーに同期約200人が蜂起。2000人いるという兵営を制圧し武装解除させました。この成果に対しズムシティ市民は歓喜し、パレードが開かれるほどガルマは称賛されました。

 この「暁の蜂起」はシャアの扇動で始まったものですが、命を賭して200人もの賛同者が集まるということは、ただの御曹司としての威光だけではなく、ガルマ自身のカリスマ性によるところが大きいのではないでしょうか。

●軍人としての評価は……?

 では軍事面はどうかというと、評価が難しいところです。北米でのホワイトベース隊との戦闘では、決定力を欠き、結末はご存知のとおりシャアの裏切りにより戦死しました。しかしこの戦いで、ガンダムが次々とドップ戦闘機を撃ち落としたにもかかわらず、ガルマが搭乗するドップは主翼を切り落とされながらも生還。操縦技術は相当なものだったと思われます。

 また、兄のドズル・ザビは、ガルマの死の報を受けると「あやつこそ、俺さえも使いこなしてくれる将軍にもなろうと楽しみにしておったものを」と嘆きました。士官学校での成績やドズルの称賛を鑑みると、前線に立つというよりも後方で大局を指揮する将軍に向いていたのかもしれません。

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