「一度は断っていた」声優たちの当たり役 「奇跡のマッチング」が起きなかった可能性も!?
人気アニメには「この役は絶対にこの声でなきゃ!」と思わせてくれる声優さんたちがいますが……なかには、一度は断った経緯がありつつ、結果的にハマり役になったケースも。この記事ではそんな、ファン感涙の奇跡のマッチングをご紹介します。
アニメの神の采配!? 奇跡のハマり役の裏話
新作アニメが発表されると、まず気になるのは声優です。特に「原作もの」の場合は、お気に入りキャラを誰が演じるのか気が気ではない、という方も多いでしょう。イメージどおりならいいのですが、もし違和感があったなら作品への期待も半減してしまいます。
アニメ作品の成否を握るともいえる声優ですが、人気アニメのなかには「この人の声しか考えられない」というハマり役も存在します。原作ファンが「よくぞこの人を抜擢してくれた!」と頭を下げたくなるほどのキャスティングですが……なかには、別の声になっていたかもしれないケースも。今回は、一度は断っていたハマり役をご紹介します。
●ジャニーズ事務所をやめて間もなかったゆえに…『あしたのジョー』あおい輝彦
不朽の名作といわれるボクシングアニメ『あしたのジョー』。主人公・矢吹丈の声を担当した あおい輝彦さんは、ネットでも「この人以外考えられない」「奇跡の配役」との声があがるほどのハマり役です。しかし、そのあおいさんは、一度は矢吹丈役のオファーを断っていたのです。
あおいさんといえば、かのジャニーズ事務所の初代アイドルグループ「ジャニーズ」(1962年デビュー)のメンバーです。今をときめく歌って踊れるアイドルたちの先駆けですが、『あしたのジョー』放映開始の1970年当時は、ジャニーズを解散し、事務所も退所して脱アイドルをはかっていた頃でした。歌や踊りを封印して俳優として認められるようになろうと努めていた時だったので、矢吹丈役のオファーを断ったのだそうです。というのも、当時は俳優と声優はまったく別の分野としてとらえられていたからです。
ではなぜ、一度断った矢吹丈役を引き受けたのか? それは、あおいさん自身がボクシング好きで、『あしたのジョー』の連載も毎週欠かさず読むほどの大ファンだったから。そんなに好きなのに一度は断ったとは、その信念にも恐れ入りますが、もしも あおいさんが野球や相撲など入れ込んでいたら、この役は受けなかったと思うと、ファンでいてくれてありがとうと改めて思います。
●役に納得できなかったゆえに…『新サクラ大戦』横山智佐
ゲームから始まりアニメや舞台でも人気を博す「サクラ大戦」シリーズで、欠かすことのできない声優といえば、メインヒロインである真宮寺さくらを演じた横山智佐さんです。そんな横山さんも、『新サクラ大戦』のオファーでは、一度ならず二度も役を断ったことがあるのだそう。
『新サクラ大戦』の世界は、『サクラ大戦』の帝国華撃団が消滅してから10年後という設定で、横山さんがオファーされたのは「夜叉」という新しいキャラクターでした。しかも夜叉は「真宮寺さくらかどうか謎」の存在だと説明されたそうで、ここで横山さんは「役どころがはっきりしない」と、いったん断ったのだそうです。横山さんにとって真宮寺さくらは、不確かな理解では演じられない、とても大切な役柄だったのでしょう。
しかし決定は台本を読んでから……と保留になり、台本を読んだ横山さんは再び役を断ります。そこには「真宮寺さくらかもしれない……」との疑いが生じようもないほど、さくらとかけ離れた夜叉が描かれていたからでした。高笑いをし、セリフ回しも悪役然としたものばかり。口調は「お前ら、貴様ら」……。横山さんは自分が演じるかどうかは別として、夜叉をさくらに近づけるための提案をし、制作陣がそれを受け入れることで、最終的には横山さんが夜叉を演じることになったのだそうです。