2年間完走、アニメ『ダイの大冒険』が復活できた複雑な事情 放送中は言えなかった「ネタバレ演出」
復活作品としては異例の100話放送という高いハードルを乗り越えたTVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』。どうして最初から2年間という放送スケジュールが組めたのでしょう? そこにはファンの熱意がありました。
改めて見直すことで分かる、『ダイの大冒険』の秘密

最終回放送後も人気が衰えることがない、TVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』。いわゆる「ダイロス」とファンから呼ばれている喪失感も、2年以上の期間であたりまえだった放送がなくなったことが大きな理由かもしれません。
ファンにはいろいろな方がいると思いますが、改めてこれまでの放送を最初から見直している人もなかにはいるようです。そしてこの「再見」によって、今回のTVアニメから『ダイの大冒険』のファンになった人にはいろいろと発見がありました。
たとえば「アバンのしるし」です。作品では当初、卒業の証でしかなかったアイテムでしたが、終盤で大きな意味を持つようになったことはアニメを見た皆さんはご存じでしょう。この「アバンのしるし」が光るようになったのは原作マンガでは作品の終盤で設定が明かされた後になりますが、TVアニメではそれよりも前に光っていたことがありました。
最初に「アバンのしるし」が光る描写があったのは第5話「アバンのしるし」です。ここでダイが初めてアバンストラッシュを放つ直前、「アバンのしるし」が光っています。もっとも、ここでは白く光っていたことからファンの間でも「ただの演出ではないか」と言われていました。なぜなら設定としては、ダイの「アバンのしるし」の色は青だからです。
これに関して筆者はアニメスタッフの観測気球だったのではないか? ……と考えていました。いわゆる派手に分かりやすくして「ネタバレ」と言われることを恐れたのではないでしょうか? ここで大きな問題になるのかアニメスタッフは、ファンの感触を確かめていたのかもしれません。
この後、「アバンのしるし」が明らかに光ったと分かるのが第9話「ひとかけらの勇気」でした。光らせたのは後に「アバンのしるし」が光らなくて一番苦労したポップです。この時、戦いから逃げようとしていたポップはまぞっほから激励されて「勇気」を奮い起こすのですが、その場面で「アバンのしるし」が緑色に光るのをハッキリと確認できました。放送当時、原作ファンが驚いたのは言うまでもありません。
また、第28話「ダイの秘密」ではグランドクルスを放つ直前に、ヒュンケルの左拳のなかから紫色の光が発せられました。この左拳には「アバンのしるし」が握られており、ヒュンケルの「闘志」に反応したことは間違いないでしょう。
他にも一瞬で判別が難しいのが第30話「ポップの覚悟」です。この時、バランに対してメガンテを仕掛けたポップ。その爆発の際にメガンテの黄色い光に混じって緑の光が見えます。ただの演出とも思えますが、確かにポップの勇気に呼応して「アバンのしるし」が光ったとしても不思議ではありません。
このように放送中はネタバレになるので大きな声で話せなかったことも気軽にできるのは、悲しいことですが最終回を迎えたならではのことです。そして原作マンガが最終回を迎えてからTVアニメ化されたからこそ、こういった先取りの演出で原作を補強できたということでしょう。