マグミクス | manga * anime * game

アムロが戦死!? 小説版『ガンダム』の「アニメ勢は知らない」衝撃展開

同じ作品でも、メディアが変われば展開も多少は変わるというもの。しかし、小説版の著者がアニメの監督本人だったなら…? 「アムロの戦死」など、なぜアニメと異なる設定や展開になったのかを赤裸々に語るあとがきすらも面白い、小説「ガンダム」シリーズの魅力を紹介します。

ファーストだけじゃない! 「アニメと小説」の違い

角川スニーカー文庫 小説『機動戦士ガンダム II』書影
角川スニーカー文庫 小説『機動戦士ガンダム II』書影

 好評放送中のアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が「まさかの百合モノ!?」と大きな話題を呼んでいる「ガンダム」シリーズ。実は「なんでアムロが死んでるの!?」と1980年代にも同じような衝撃がありました。そんな「ガンダム」シリーズ初期作品の「アニメと小説の違い」を紹介します。

●アムロがまさかの戦死! 小説『機動戦士ガンダム』

 アニメを手がける富野由悠季監督自らの著による小説『機動戦士ガンダム』は全3巻構成。ジオン軍の独裁者ギレン・ザビが死に、地球連邦軍とジオン軍による「一年戦争」が終わりを告げる……という結末だけを見れば同じですが、その過程は大きく異なります。

 小説を読み始めて最初に驚くのが、物語の主人公が「軍属のアムロ・レイ曹長」であること。スペースコロニーのサイド7をジオン軍のモビルスーツ・ザクが襲い、アムロが何かに突き動かされるかのようにガンダムに乗り込んで撃退する……という流れは同じですが、小説では(駆け出しの)軍人として行動しています。

 そのほかにも、アムロたちが乗艦するホワイトベースがペガサスという名称であったり、そのペガサスも途中で撃沈したり、シャアの搭乗機体がザクとリック・ドムのみであったり……と違いを挙げればキリがないレベルですが、その最たるものは「アムロが戦死」することでしょう。

 物語のクライマックスでシャアはギレン・ザビこそが討つべき相手であるという結論にいたり、そのためにアムロやペガサス(ホワイトベース)との和解・共闘を画策します。ところが、まだニュータイプとして未熟だったアムロは、シャアの意思を伝えにきたニュータイプ、シャリア・ブルが操縦するブラウ・ブロを撃墜してしまい、死して宇宙に拡散していく彼の思念(のようなもの)に触れて、初めてその意図を理解します。

 そして、このことをペガサスに伝えなければ……と身をひるがえした瞬間、ジオン軍のルロイ・ギリアムが操縦するリック・ドムの射撃でガンダムは撃墜されてしまうのでした。「生死不明」などではなく、ここで明確に戦死します。

 富野監督は最終巻である第3巻のあとがきで、こうしたアニメとの差異について「ビジュアルの仕事に対応するために、自分にはこうしかできなかったのです」と述べています。「ガンダムは元々このような物語だったが、アニメ化するにあたって、さまざまな事情で展開が変わった」ということだと思われます。

 アニメ『機動戦士Zガンダム』では、シャアが扮するクワトロ大尉が「出資者は無理難題をおっしゃる!」と毒づくシーンがありますが、これは富野監督の心の叫びなのでは……とも思えてきますね。

【画像】ジオングは消された!? 「アニメと小説」で扱いの違うモビルスーツ(9枚)

画像ギャラリー

1 2