『水星の魔女』はまるで「乙女ゲー」? 御三家攻略完了で、凄絶展開が始まるか
2022年秋の新番組のなかでも、毎週の急展開が話題になっている『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。特にこれまでになかったタイプの主人公であるスレッタを中心にした人間関係が注目です。まるで乙女ゲーを思わせる各キャラの攻略法とは?
『ガンダム』という呪いから解放された本作の魅力
放送から早くも幅広い層の支持を得ている『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。人によってさまざまな角度で楽しんでいるようですが、今回はそのひとつである主人公であるスレッタ・マーキュリーを中心とした人間関係を見ていこうと思います。
『ガンダム』のTVシリーズで初めての女性主人公となるスレッタ。その特異性から放送開始前から注目されていました。特にタイトルにもなった「魔女」と、「PROLOGUE」で語られたストーリーから、当初は復讐するために学校へ潜入した暗い過去を背負ったキャラというイメージを持った人も少なくなかったようです。
ところが1話で、そういった予想とは真逆の性格を露呈し、いい意味で予想を裏切る良キャラぶりを見せました。その太い眉からファンの間では「タヌキ」と呼ばれるようになったことも、どちらかと言えば性格が受け身で人懐っこいキャラである点が理由かもしれません。
しかし、一見すると受け身で弱々しいキャラに見えますが、その芯は強く、これまでも数々の困難を乗り越えています。また、入学後に「やりたいことリスト」を埋めたいなど、そういった「普通の少女」というイメージがスレッタの人気の秘密かもしれません。
転校してきた少女がだんだんと友達を作っていくというのが、現在のところ本作の流れです。この「学園もの」のスタンダードな流れに、MS(モビルスーツ)という『ガンダム』特有の要素が加わり、良い化学反応になっている点も本作の人気の秘密と言えるでしょう。
この学園ものに使われるスパイスの一種として、「イジメ」と「恋愛」があります。このふたつもほどよく本作を魅力ある作品に仕上げていますが、そのためか何度も映像化された有名な少女マンガ『花より男子』を思い出す人もいる模様です。確かに本作を、スレッタを中心とした「ハーレムもの」、いわゆる「乙女ゲー」と考えるのは今風の作品としては分かりやすい例えかもしれません。
実際、本作を「乙女ゲー」として見てみると、1話でミオリネ・レンブランと運命的な出会いをしたことで物語が始まり、3話ではグエル・ジェタークから求愛され、4話でチュアチュリー・パンランチから信頼を得て地球寮の仲間を得るというストーリーは、着実にゲーム攻略が成功していく流れです。
こういったこれまでの『ガンダム』になかった序盤の展開が、多くのファンを生むきっかけとなったのかもしれません。本作ではガンダムを「呪い」と称していますが、これまでの『ガンダム』という作品パターンを廃した、いわば「呪い」から解放された作風が幅広い層に受け入れられた要因のひとつと言えるでしょう。