【漫画】「親ガチャ」ハズレ女子、地獄のような日々を文通相手に打ち明けたら? 結末に背筋がゾワッ
学校ではいじめ、家では虐待を受ける日々を過ごしていた女子高生・安井恵の心のよりどころは「シヲンさん」との文通でした。ある日、シヲンさんに自身の環境を打ち明けたら……。「マガジンエッジ新人賞」で佳作を受賞した『殿波さん』の作者・鯨井陸さんにお話を聞きました。
「殿波さん」の誘いに乗ってしまった少女の運命とは?
主人公・安井恵は、学校ではいじめられ、家では虐待を受ける、地獄のような日々を過ごしていました。唯一の心のよりどころは、ペンフレンドであるシヲンさんとの文通でした。手紙のなかでは「理想の自分」を演じていた恵ですが、自身の置かれている環境に耐えられず、シヲンさんに正直に打ち明けました。すると、シヲンさんから「入れ替わってみる?」というメッセージとともに「9月9日」の日付が書かれていて……。
鯨井陸さん(@whaletail_810)が「親ガチャ大ハズレと大当たりが入れ替わってみる話」としてTwitter上に投稿した創作マンガ『殿波さん』が話題です。いいね数は1.2万を超えており、読者からは「一気読みしてしまった」「ホラーと言い切ってしまうには惜しい良作」「ものすごく考えさせられた」という声があがっています。
講談社が主催する、「マガジンエッジ新人賞」で佳作を受賞した『殿波さん』の作者・鯨井陸さんにお話を聞きました。
ーー鯨井陸さんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。
苦手なことやできないことが多すぎて、生きているだけでしんどいんですが、どうせ苦しいなら好きなことに苦しめられたくて、漫画家になりたいと思いました。絵がうまいわけでも才能があるわけでもないのですが、好きで、やりたいことであり、辞めたくないことなのでやっています。
ーー『殿波さん』のお話が生まれたきっかけは何ですか?
担当編集さんと何を描くか話していて、私が文通を長年していたため、文通から話を考えてみようとなったのがきっかけです。
ーーかわいらしい女の子とは対照的にかなりセンシティブな部分に切り込んだストーリーが「クセになる」と話題です。『殿波さん』を制作するにあたって気を付けた点はありますか?
キャラがやることと、やらないことをハッキリさせておくことです。例えば、恵は入れ替わっている間、幸せをかみしめるばかりです。普通は自分の身代わりになっているシヲンを案じて「大丈夫かな、シヲンさんひどい目にあってないかな」と心配になると思うのですが、恵はそういう発想が一ミリもない人間です。そのような箇所でキャラの性格や虐待されている子、だけじゃないイメージがつけられないかと思いました。
ーー「ハラハラ感がたまらなく好き」など、多くの感想が寄せられています。特にうれしかった感想や、印象に残った読者の声について、教えて下さい。
「面白い」「好き」とひと言いただけるだけでうれしかったです。また、考察してくださる方がいたのが衝撃的でした。創作に支障が出るくらい自信がありませんでしたが、少しだけ前向きになれました。また、読者のフィードバックがなければ、自分のマンガを読んだ人はどう思うのか? の想像がつきにくく、それは人前に出す機会が長いほど大きくなっていくのを感じていました。改めて人前に出すって大事だなと思えました。
ーーほかにも、イラストなど多くの作品をTwitterに投稿されていますが、今後の活動をどのようにしていきたいとお考えでしょうか?
商業誌で連載して、たくさんの方に読んでいただくのが目標なので、それが実現できるようにしていきたいです。
(マグミクス編集部)