2022秋アニメ、期待値が高かった「懐かし系」3作 放送後の評価は?
2022年の秋アニメでは、かつて高い人気を誇った名作のリメイクや、続編作品が複数放送されています。昭和に放送され、多くの男性をとりこにした作品や秋葉原を舞台としたゆるくてカオスなショートアニメ、「週刊少年ジャンプ」で人気を誇り2000年代に長く放送されたアニメなど、特に前評判が高かった3作品を紹介します。
外せない作品で手堅い作り
2022年の秋アニメでは、かつて高い人気を誇った名作のリメイクや、続編作品が複数放送されています。昭和に放送され、多くの男性をとりこにした作品や秋葉原を舞台としたゆるくてカオスなショートアニメ、「週刊少年ジャンプ」で人気を誇り2000年代に長く放送されたアニメなど、放送前の期待値は非常に高いものでした。実際に放送されてから、どんな評価がされているのでしょうか。3作品を紹介します。
●『うる星やつら』
1980年代にTVアニメ化され、一世を風靡(ふうび)した高橋留美子先生原作の『うる星やつら』が二度目のアニメ化を果たしました。旧作はオンエアが決定したのが放送の1か月前で、当時若手の演出家だった押井守さんが七転八倒しながら放送にこぎつけたエピソードがあります。一方で、今回のアニメ化では十分な準備が行われていたことがうかがえる、原作をかなり忠実に再現したストーリーが展開されています。
原作の連載が1978年から1987年まで、すなわち昭和53年から昭和62年ということもあり、作中にも黒電話やチャンネルを回すタイプのTV、プルタブ式の缶ジュースなど昭和に使われていたアイテムが次々と登場します。当時を知る方には懐かしいものばかりではないでしょうか。
各話のストーリーについては、原作が基本1話1エピソードのため、そのまま使ってもアニメにした場合の尺が足りません。そこで関連するエピソードをうまくつなぎ合わせて尺を確保しており、構成の巧みさがうかがえます。セリフについても基本的には原作を踏襲していますが、一部は時代や理解のしやすさなどを考えたのか変更されています。しかし作品の持ち味を消すようなことは一切ないのも特筆すべきでしょう。
声優の演技については、諸星あたる役の神谷浩史さん、ラム役の上坂すみれさんのいずれも旧作の演技に見事に寄せています。「声優の個性を生かした演技が見たい」と考える方もいるかもしれませんが、『うる星やつら』ほどのビッグタイトルとなると声優だけでなく関係者すべてにとって「外せない」プロジェクトとなります。おそらく旧作に寄せるのはプロジェクト全体で共有されている共通認識であり、その意味では求められる役を高い技量を持って完ぺきにこなしていると考えるべきでしょう。
ひとつ問題点があるとすれば、最近のアニメに慣れた人にとっては、少々テンポが遅く感じられることでしょうか。近年のアニメはテンポ優先のためどんどんキャラクターを出していくのが一般的ですが、『うる星やつら』では新キャラが登場した際にはしっかりとフォーカスし、丁寧な描写が行われています。このやり方が今後どう生きるのか、キャラクターが出そろったときに明らかとなるでしょう。