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『水星の魔女』ガンダムは「学園モノ」に向かない? 過去作でも描かれた「学校生活」

人気急上昇中の『水星の魔女』。個性豊かなキャラによる学校生活が人気の理由のひとつとも言われています。これまでの『ガンダム』ではあまり描かれたことのなかった学校生活。それには理由がありました。

『ガンダム』で学校が舞台に向かない理由

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』ティザービジュアル第2弾 (C)創通・サンライズ・MBS
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』ティザービジュアル第2弾 (C)創通・サンライズ・MBS

 現在、好評放送中のTVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。これまでの『ガンダム』では珍しい、学校が舞台という設定が斬新だと言われています。しかし、過去の『ガンダム』でも学校が出てきた作品がいくつかありました。

 もともと『ガンダム』の主人公は十代の若者であることが多く、そのため大多数は学生ということになります。それゆえに学校という舞台は不可欠のように思われますが、『ガンダム』シリーズ作品には一か所にあまりとどまらない「ロードムービー」的な側面を持つことが多くありました。このために学校が舞台として成立しづらいということになります。

 振り返ると初代作品『機動戦士ガンダム』では、主人公アムロ・レイをはじめとしてレギュラー陣のほとんどが学生でしたが、劇中で学校に通うシーンは描かれていません。急な避難命令から物語が始まり、戦火の拡大により避難民としての逃亡劇となったからです。

 こういった流れは後発のシリーズでもほぼ踏襲され、本格的に学校が舞台に組み込まれたのは『ガンダム』初のOVA作品『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』でしょうか。この作品は主人公的存在が3人いる特異な作品で、そのうちのひとりアルフレッド・イズルハがまだ11歳の民間人だったことが理由です。そして、メインとなる舞台がサイド6のコロニー「リボー」のなかという、ロードムービーではなかったことも要因でした。

 そうすると、TV作品で学校が明確に作品に組み込まれた『ガンダム』は何になるのでしょうか?

 TVでは『新機動戦記ガンダムW』が、はじめて学校が舞台のひとつとなった作品になると考えられます。この作品では主人公であるヒイロ・ユイが、ヒロインであるリリーナ・ドーリアンの通う学校に転校する場面が第1話で描かれていました。そして、この出会いでヒイロのもっとも有名なセリフである「お前を殺す」が初披露されます。

 この後、中盤でも不穏なイメージのあったドロシー・カタロニアが、転校生としてリリーナの前に現れました。ドロシーもまた「早く戦争になーれ!」という名セリフで知られています。

『水星の魔女』でも主人公がヒロインのいる学校に転校するという展開でしたから、番組開始前はこの『W』との共通点が話題になりました。しかし、ふたを開けてみると似た部分はほとんどなく、むしろ正反対の展開だったことからファンには評判になっています。

『W』は5人のガンダムパイロットがそれぞれ独自に動いている作品でした。そのため、ひとりが一か所に居座る形でも、他のキャラが動くことで閉塞感を感じさせない利点があったわけです。

 少なくともTVシリーズの『ガンダム』は各地に移動することで物語を動かしてきたので、学校という固定された舞台は使いづらいのでしょう。これが『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のように本拠地と言えるベースからならば無理はありません。しかし、学校から各戦地に向かうというのも設定的に難しいのではないでしょうか?

【画像】たしかに「学校」出てきた! 学園描写があった「ガンダム」シリーズを見る(5枚)

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