アニメにおける「キャラクターソング」性質の変化 『マクロス』『ハルヒ』を転機に現在は?
1980年代の後半から2000年代にかけて、多数のキャラクターソングがファングッズとして販売されていました。CDの衰退と共にグッズとしては見かけなくなったものの、現在ではキャラクターソングが作品の中核を担うアイドル作品が増えており、キャラソンは今やアニメにおいて最も重要な存在と言っても過言ではなくなりました
最初の転換点は『超時空要塞マクロス』
日本で最初に登場した「キャラソン」ことキャラクターソングは、1963年に放送された『狼少年ケン』でポッポ役を演じた水垣洋子さんが歌った「ポッポとチッチの歌」とされています。その後は1970年に『サザエさん』でフグ田サザエ役の加藤みどりさんや当時磯野カツオ役を演じていた高橋和枝さんが挿入歌「レッツ・ゴー・サザエさん/カツオくん(星を見上げて)」を、『ヤッターマン』ではエンディングテーマ「天才ドロンボー」を小原乃梨子さん、八奈見乗児さん、たてかべ和也さんが担当しています。また『ドラえもん』ではやはりたてかべ和也さんが担当した「俺はジャイアンさまだ!」が挿入歌としてしばしば使用されており、強い印象を残しています。
キャラソンの定義が一気に塗り替わったのは、1982年の『超時空要塞マクロス』になるでしょう。リン・ミンメイ役を演じた飯島真理さんの透き通るような声と歌唱力が生み出した数々の楽曲は極めて評価が高く、それまでは添え物に近かったキャラソンがストーリー上で重要な役割を果たすことが可能だと示した、歴史の転換点とも言える作品です。
『マクロス』をはじめとして、1980年代から2000年代にかけてキャラクターソングはファンの心をとらえ、大きな盛り上がりを見せるようになりました。作品の名前を数え上げればキリがありませんが、特に1980年代後半あたりからはCDが重要な商品のひとつとして位置づけられ、多数の作品でキャラソンが発表されています。
特に2000年代前半の勢いは凄まじいものがあり、『テニスの王子様』では約800曲のキャラソンが作られ、ファンの熱狂的な支持を受けました。同時期には『魔法先生ネギま』がメディアミックス展開を重視しアニメの放送前から多数のキャラソンを発売し、非常に高い人気を得ています。2006年の『涼宮ハルヒの憂鬱』でも涼宮ハルヒ(CV:平野綾)の「God knows…」や朝比奈みくる(CV:後藤邑子)の「恋のミクル伝説」がヒットを飛ばしました。