『異世界おじさん』アニメ放送延期と「セガハード戦略の迷走」共通点に、ファンが爆笑した理由
2022年7月からスタートしたTVアニメ『異世界おじさん』(原作:殆ど死んでいる)は、異世界より帰還した「おじさん」が、甥のたかふみたちと繰り広げるセガネタオンパレードのギャグ作品として注目を集めましたが、新型コロナウイルスの影響により放送延期を余儀なくされました。その過程はかつて愛したセガが繰り広げたハードウェア展開にも似て……。
私が愛したセガのハードたち
「セーーガーー!(こおろぎ’73風味)」
かつて、いや今もセガをこよなく愛している方々にとって、『異世界おじさん』は最高の作品だったのではないでしょうか。筆者も2022年7月にアニメの放送が始まってからはWebや書籍の資料を用意し目を皿のようにして「これはあのネタだ!」「ここはアレのパロディか! なんてマニアックな……」と制作陣がこれでもかと入れ込んできたセガネタを楽しんでいたものです。
新型コロナウイルスの影響で、「秋アニメ」の時期へと放送が延期されるまでは。
延期が決まった時は残念でもありましたが、それ以上に速攻で大爆笑させていただきました。「なんてセガらしい」と。 「俺たちのセガはここでもセガをやってくれるのか」と。
思い返せば家庭用ゲーム機に参入してからのセガは、任天堂やソニーの影に隠れながらも確固たる存在感を示していましたが、時に優位に立つことがあっても生かしきれずにやがて沈んでいく定めにあったように思えます。
セガ初の家庭用ゲーム機「SG-1000」が発売されたのは、1983年7月15日。そう、あの「ファミリーコンピュータ」と同年同月同日でした。
ちょうどこの頃は1982年の年末に家庭用ゲーム「ATARI2600」で低品質タイトルがまん延したために発生した市場崩壊「アタリショック」の影響が出始めた時期となります。当時のセガは外資であり、冷え込んだゲーム機市場に新たに殴り込みをかけるにはまずアメリカ本社に許可を取る必要がありました。後に社長を務めた佐藤秀樹氏の回想によれば、やはり説得には苦労したようです。
なんとか許可を取った後はなるべく早く出すために、すでに開発が進んでいた家庭用コンピュータ「SC-3000」を手直しし、「SG-1000」として発売。巨人・任天堂に対するセガの戦いが始まったのです。ちなみに「SG-1000」はファミコンが品薄だった際に代わりに購入されることが多く、16万台売れたそうです。
翌年7月には「SG-1000」のマイナーチェンジ版である「SG-1000II」も発売されましたが、期待ほど売れなかったと佐藤氏の回想録にはありました。なお、筆者がファミコンを探して見つからず玩具店の店員に「ファミコンに似たのがありますよ」と言われて買ってもらったのがこの「SG-1000II」です。1985年にはアップグレート型の「SEGA MARKIII」が発売され、『アフターバーナー』や『北斗の拳』が遊べることもあり人気を博しました。筆者個人としては『赤い光弾ジリオン』が発売されたのが高ポイントです。