弾道ミサイルも登場!『大戦略』のシステムソフト作品を振り返る 「PC-98」発売40周年で
1982年10月に日本電気(NEC)が発売した16ビットパソコン「PC-9801」では、数多くの名作ゲームが発売され、多くのプレイヤーを楽しませていました。今回はPC-98時代に大きな存在感を発揮した「大戦略」シリーズや「天下統一」シリーズなどで知られるシステムソフトのタイトルを振り返ります。
報道を賑わした「スカッドミサイル」もいち早く導入
1980年代から90年代にかけて、NECが発売したPC-9801シリーズ(以下、PC-98)用に膨大な数のPCゲームが発売され、ユーザーを楽しませてくれていました。そのなかでも当時大きな存在感を発揮していたのが、システムソフト(現:システムソフト・ベータ)です。PC-98にサードパーティとして参加した会社のなかで最も多い77タイトルを発売しており、光栄(現:コーエーテクモゲームス)の57本や日本ファルコムの28本を大きく上回ります。
代表的なタイトルとしては、ウォー・シミュレーションゲームの「大戦略」シリーズ、そして歴史シミュレーションゲームの「天下統一」シリーズが挙げられるでしょう。2022年で「PC-9801」の発売から40周年を迎えたこの機会に、振り返りたいと思います。
「大戦略」シリーズの第一作『現代大戦略』が発売されたのは1985年11月19日、今からおおよそ37年ほど前となります。アメリカ製の兵器であるF-16Cファイティング・ファルコン戦闘機やA-10サンダーボルトII攻撃機、SH-1Sヒューイコブラ戦闘ヘリ、ドイツ製の兵器であるレオパルドII戦車にゲパルと対空戦車など、さまざまな兵器を生産し、敵戦力を撃破していくゲームです。
歩兵で都市を占領し、資金を確保してさらに戦力を強化する流れでゲームが進行、登場するユニットの画像は当時としてはかなりクオリティが高く、戦闘の結果をアニメーションで見せてくれるなど臨場感を演出する仕組みが盛り込まれていました。
戦って生き残ればユニットに経験値が入りレベルアップできるなど、後のシミュレーションゲームの基本となるようなシステムは『現代大戦略』が持ち込んだものであり、後の数多くのタイトルの先駆けと言える作品です。
1987年には『大戦略II』が発売され、間接攻撃や敵味方同時攻撃の概念が導入されました。生産する兵器の国家・組織を選べるようにもなっており、より没入感も増しています。
その後も「大戦略」シリーズは『大戦略III』や『現代大戦略EX』など膨大な数の作品が発売され、家庭用にも移植され人気を博しました。湾岸戦争の際に有名になった「スカッドミサイル」の導入や、タイトルによっては弾道ミサイルの発射も可能となるなど新情報の取り込みも早かったのは、ゲームの開発を少人数で素早く行えた時代ならではといえるでしょう。