『ジョジョ』怪我人の「治りっぷり」がスゴイ 「足をえぐられてたんじゃ?」
もし、現実で首や足がえぐられたら大抵は「再起不能」ですが、『ジョジョの奇妙な冒険』は違います。なぜかはさておき、主人公たちの「治りっぷり」が凄まじいのです。今回は、そんな『ジョジョ』の「回復が早すぎる場面」を紹介します。
「治りっぷり」が特に凄まじいポルナレフ
『ジョジョの奇妙な冒険』は、波紋やスタンド能力、そして頭脳と肉体を駆使した激しい戦闘シーンが大きな魅力です。しかし、戦闘描写に関して、『ジョジョ』ファンが長年指摘していることがあります。それはズバリ、彼らのダメージ(ケガ)の「治りっぷり」です。特に、スタンドが登場してからのダメージのエグさは、凄まじいものがありました。
鮮血が大量に噴き出す大ケガを負ったはずが、どうにも数ページ後には軽症程度になっている……読者にはそうとしか思えないシーンが、『ジョジョ』にはいくつも存在します。今回は、ある意味で『ジョジョ』名物の「治りっぷり」が素晴らしいシーンを、厳選して振り返ります。
●ふくらはぎを思い切り切断されたはずじゃ……
まず、第3部の比較的序盤、「エボニーデビル」戦を思い出しましょう。3部は、「回復要員」がいないことが特筆すべきポイントです。さて「呪いのデーボ」が操るこのスタンドは、人形に憑依して恨みの強さによってパワーアップする能力を持ち、主に鋭利な刃物を振り回します。そして、デーボの罠にはまったポルナレフは、この人形により「ボドッ」と嫌な音がするほどに、ふくらはぎを深く抉られてしまうのです。
正直、下手すれば失血死、運がよくても数ヶ月は安静を強いられるケガに見えます。ところがポルナレフは患部を布で押さえるだけの応急処置で済まして、その後の大ピンチも知略で切り抜け、勝利を収めるのです。対照的に「呪いのデーボ」は、しっかりと「再起不能」。『ジョジョ』を代表する見事な治りっぷりでした。
●またしてもポルナレフ……あちこちを「削られ」ながら勝利!
お次も3部から。どうもポルナレフは、何かと「削られる運命」にあるようです。終盤のDIOの館内で起きた、ヴァニラ・アイス戦での出来事でした。彼はここでも、見事な「治りっぷり」を披露します。
ヴァニラ・アイスのスタンド「クリーム」は、空間ごと相手を飲み込む、もしくはえぐり取ってしまう恐ろしい能力でした。この戦いでポルナレフは左足先と、左手の2本の指、そして左足太ももの大部分を欠損(さらに言えば、耐えがたい別れもありました)。ところが、彼は止血もソコソコにヴァニラ・アイスを葬ると、「今の俺には悲しみで泣いている時間はないぜ」の言葉通り、カーテンで応急処置を済ませると立ち上がるのです。
●「自分は回復できない」はずではなかったか……?
第4部の主人公・東方仗助のスタンド「クレイジー・ダイヤモンド」は、凄まじい攻撃力と回復を兼ね備えた能力ですが、仗助自身のケガは治せません。この要素がバトルの鍵を握るのですが、どうにも彼の「自然治癒能力が異常」としか思えないシーンも、しばしばありました。
いつも何かと額から血を流している仗助ですが、ラスボス・吉良吉影との最終決戦ともなるとその出血量も違います。直接、吉良の爆弾スタンド「キラークイーン」による攻撃を受け、満身創痍。さらに、肩に「道路の破片」がめり込んだ状態になった仗助ですが、もう次のシーンでは全力で走り出しているのです。それは、瀕死の虹村億泰を助けるため、そんな美しい「治りっぷり」でした。
そして4部ラスト、事態解決後に港で承太郎と父・ジョセフを見送る仗助を見ると、ケガの影響などまるでないかのようにポーズを決めています。こちらも見事な「治りっぷり」ですが、もしかすると、トニオ・トラサルディーの料理を食べ、スタンド「パール・ジャム」に治療してもらった可能性もあります。
●首と肩がえぐれたはずなのに、次の戦闘へ?
TVアニメ放送中の第6部『ストーンオーシャン』においては、ケガのエグさと「治りっぷり」はなお加速します。6部にも回復役として、プランクトンを傷口に詰めてくれるフー・ファイターズがいるのですが、彼女不在であっても、主人公・徐倫の治癒力は平常運転でした。
例えば看守・ウエストウッドが操るスタンド「プラネット・ウェイブス」は、隕石を引き寄せるという実に厄介な攻撃を仕掛けてきます。何度も隕石を思い切り食らった徐倫は、最後には肩付近の肉が大きく弾け飛んでしまったように見えました。
しかし、徐倫は1ページごとに、驚くべき治りっぷりを発揮。勝利を収めると、ノンストップで次の刺客・ケンゾーとの戦いに臨むのです。もちろん、徐倫はスタンド「ストーン・フリー」の糸で、傷口を縫い合わせてはいるのですが、それでも常人では立っていられないほどのケガなのは間違いありません。
前述のとおり、これらのシーンは大ケガがすぐに治っているように見えてしまいますが、スタンドは精神を具現化したものです。ゆえにその攻撃は、本来のダメージと我々の認識が異なっている可能性もあります。「おとなはウソつき」ではない(?)のです。
(片野)