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なぜ『アニポケ』サトシは25年も優勝できなかったのか 「弱かったから」ではない悲しき理由

日本国内ばかりか世界的話題になったTVアニメ版『ポケットモンスター』でのサトシの優勝。放送開始から四半世紀を迎えたなかで一番の快挙と言われています。どうしてこれまでサトシは優勝できなかったのでしょうか?

負け続けることで主役の座にいたサトシ

主人公のサトシと相棒のピカチュウ。画像はアニメ『ポケットモンスター』(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon
主人公のサトシと相棒のピカチュウ。画像はアニメ『ポケットモンスター』(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon

 先日、TVアニメ『ポケットモンスター』(以下アニポケ)のなかでポケモンワールドチャンピオンシップス優勝を果たした主人公のサトシ。渋谷の大型ビジョンでは速報が流れ、Twitterではトレンド入りするなど、大きな話題になりました。

 どうしてサトシの優勝がこれほどの話題になったのでしょうか? その理由に、これまでサトシの歩んできた道、その戦績が大きく影響しています。サトシは主人公ゆえに、これまでいくつもの敗北を経験してきました。

 アニポケ第1シーズンにあたる『ポケットモンスター』での最初の大きな大会となるポケモンリーグ・セキエイ大会では、サトシはこの直前に登場した同じくピカチュウを使うライバルのヒロシに負けてベスト16で終わっています。しかも原因が、手持ちのリザードンが言うことを聞かなかったための不戦勝という課題点の残る敗北でした。

 このころのサトシは未熟な姿で描かれることが多く、また当時から番組の人気も高かったことから、今後のストーリーで成長を描くことも考え、あえて反省点の多い敗北を喫したのでしょう。ちなみにこの時、本命のライバルだったシゲルはベスト32で終わっています。ここでシゲルより好成績だったことで、サトシはかろうじて主人公の面目を保ちました。

 その後のサトシの成績は何年も似たような感じになります。シリーズ通じてのライバルには勝利するものの、その後に大会直前に現れた新しいライバルに敗北するというパターン。また、サトシに勝利したライバルが優勝できないことも少なくなく、大きな大会の層の厚さを見せつけました。

 色々な作品がありますが、『アニポケ』では主人公は苦難の道を歩むという方向性が決まったのが、この第1シーズンということになります。もしも、ここで主人公であるサトシが優勝することになれば、おそらく以降のシリーズで敗北させる展開が難しくなり、最終的に必ず大きな大会で優勝というフォーマットになっていたかもしれません。

 そう考えると、以降の『アニポケ』はゲームのようにシリーズごとに新しい主人公によるバトンタッチ、シリーズ最後に地方リーグで優勝というパターンになっていたことでしょう。そして、サトシはゲームにおけるレッドのような立場のキャラとして、他のシーズンにゲスト出演するようになっていたかもしれません。

 そうなると現在のようにサトシが主役の『アニポケ』が四半世紀に渡ってTV放送することもなかったでしょう。結果的にサトシは敗北することで『アニポケ』の主役として長い間、活躍することになったというわけです。

【画像】優勝はコイツらのおかげ! サトシの「手持ちポケモン」を見る(7枚)

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