【漫画】村のため奉納された「ゴクツブシ」の少年 現れた鬼神様が怒った理由は? 「残酷さが切ない」
足が動かず、畑仕事や奉公もできない少年は、「村のゴクツブシ」という理由から、鬼神様へ奉納されることになりました。奉納されるため、森のなかで鬼神様を待っていると……。『鬼喰奇譚』の作者・大犬あいさんにお話を聞きました。
鬼より鬼らしい村人に怒りの声も
足が動かず、畑仕事も奉公もできない少年は、「ゴクツブシだから」という理由で、鬼神様に奉納されることになりました。奉納されることになった少年は、たったひとつのりんご飴とともに森のなかへ置き去りにされました。そんな少年のもとへ、鬼神様がやってきて……。
大犬あいさん(@ooinuai)が「かつて日本にいた鬼が滅びるまでの物語」としてTwitter上に公開した創作マンガ『鬼喰奇譚』が話題です。本作は2022年9月に『鬼喰奇譚』の同人誌版の販売とともに投稿された作品が再掲載されたものです。9月に投稿されたツイートには4万以上のいいねがついており、読者からは「優しい思いやりが胸にしみた」「人間の残酷さが切ない」という声があがっています。
作者の大犬あいさんにお話を聞きました。
ーー大犬あいさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。
もともとイラストを中心に活動していて、背景にあるストーリーを妄想しながらイラストを描くのが好きでした。あるとき絵を描きながら考えたストーリーが気に入って、「誰かにこのストーリーを伝えたい!」と思ったのがマンガを描き始めたきっかけです。小説を描いてみたり連作の絵を描いてみたりしましたが、一番楽しくてしっくりくる表現方法がマンガでした。
ーー『鬼喰奇譚』のお話が生まれたきっかけは何ですか?
『鬼喰奇譚』も、何とはなしに描いた少年と鬼の絵と、その絵を描きながら考えたストーリーが妙に気に入ってしまったのが制作のきっかけです。その絵はその後、何度も描き直して、物語の冒頭で鬼と少年が出会うシーンの見開きの絵のベースになりました。
ーー『鬼喰奇譚』は、読者の心をつかんで離さないストーリーです。この作品を描くうえで工夫した点はありますか?
各キャラ個人の主観的な視点から物語を見てもらいたかったので、メタ的な視点になってしまうモノローグは極力避けています。あとは時間経過の描写が大事になってくるので、特に2話以降は背景に色々細工をしてみました。
ーー「鬼の優しさにウルッと来た」などの感想が多く寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
特に印象に残っているのは、第2話に対して複数頂いた「この描写ってまさかこういうこと!?」という旨のコメントです。ちゃんと説明を描いているわけでもないシーンに対して、描写外のことまで思いをはせて読み解いてくれて、その上それをコメントまでしていただけて。物語に興味を持って下さっていることが伝わってきて本当にうれしかったです。
ーー今後、Twitterなどで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?
『鬼喰奇譚』とは違う毛色のマンガに挑戦してみたいです。活動の原点であるイラストも幅を広げたいですし、「Live2D」や「3DCG」にも挑戦してみたいです。好きなものを好きなだけ作って、同じものを好きな人たちとシェアしてキャッキャできたら最高だなと思っています。
(マグミクス編集部)