マグミクス | manga * anime * game

『シン・ウルトラマン』の侵略者・ザラブが地球を「見つけた」方法とは? 名作SFから考察

映画『シン・ウルトラマン』がAmazon Prime Videoで配信中です。今作では巨大生物・禍威獣と、ザラブ、メフィラスら外星人が日本へ襲来。それを禍威獣特設対策室専従班(禍特対)とウルトラマンが迎え討ちます。配信が解禁された今、改めて注目すべきはザラブのあるセリフです。細かい設定をひもときながら、ザラブの恐るべき人類絶滅計画を考察します。

庵野秀明氏の推しは「ザラブ」

映画『シン・ウルトラマン』ポスタービジュアル
映画『シン・ウルトラマン』ポスタービジュアル

『シン・ゴジラ』の庵野秀明氏と樋口真嗣氏による最新作『シン・ウルトラマン』は、初代ウルトラマン(1966年放送)をリブートし、2022年5月の公開以来、興行収入44億円の大ヒットを記録。早くも2022年11月18日からAmazon Prime Videoに登場しています。

 ウルトラマン役の斉藤工もさることながら、「私の好きな言葉です」の名言を残した外星人・メフィラス(山本耕史)が圧倒的人気を誇りました。でも、ザラブ(声:津田健次郎)も忘れないでほしいんです。

 ザラブは初代ウルトラマンの敵キャラ。かつて庵野秀明氏は「ザラブ星人が一番好き」と語っていました。

「ウルトラマンと逆の思想を持って、そこにある知的生命を滅ぼすために仕事でやって来ている。ああ、そういう逆のことする人たちも宇宙にはいるんだっていうのが、すごくよかった」(『特撮エース』2004年1月号)

 今作のザラブは、とてつもなく怖いことをサラっと言ってのけるヤツです。

「マーカーを発見次第、その惑星に在住する知的生命体を無条件に絶滅させる。それが私の仕事だ」

 どうやら彼は地球に知的生命体がいる痕跡を見つけていたようです。でも、我々のいる天の川銀河には170億個以上の岩石惑星があります。そんななかからどうやって知的生命体のいる星を発見したのでしょうか?

 ザラブの戦略を考察してみましょう。手がかりは、異星人との交流を描く1997年のSF映画『コンタクト』にあるでしょう。同作では、異星人が地球から飛んできたテレビの電波を受信し、太陽系に知的生命体がいると気づきます。

 実は、人類が発した電波は宇宙へ漏れ出ているのです。テレビ電波はラジオに比べて高周波で、より遠くへ届きます。史上初の大規模なテレビ放送は1936年のベルリン五輪の中継。電波の進む速度は光と同じなので、2022年現在、中継映像は86光年先へ届いています。『コンタクト』の異星人が受信したのはこの電波でした。

 天文学の分野で、「SETI」(地球外知的生命体探索)に取り組む研究者がいます。彼らは、もし他所(よそ)の星の文明を見つけるなら、その痕跡(研究者は「マーカー」と呼ぶ)として有力なのは電波だと言います。

 先述のザラブのセリフにもマーカーという単語があります。つまり、ザラブもテレビ電波を受信して情報を得ていた……そんな設定だと考察できるのです。また、彼が人類の政治にやたら詳しいという点も説明がつきます。

【画像】改めて見ると味わい深い? 「シン・ウルトラマン」の肉体美(5枚)

画像ギャラリー

1 2